なぜクマムシはそこまでの耐性を持つのか?
本研究により、DsupがDNAと非特異的に結合し、DNAを放射線や活性酸素のダメージから守るために、構造的なサポートだけでなく、電気的なシールドを提供していたことが示唆されました。
Dsupは日焼け止めのようにDNAを保護し、クマムシの不死性を高めていたのです。
しかしながら、クマムシの生存能力は地球で生活するにあたって、オーバースペックと言えます。
普通の地球上の多細胞生物にとって、宇宙空間で10日間以上で生き延びる能力は不要です。
同様に宇宙放射線への耐性や絶対零度から150℃を超える幅広い温度で生き延びる能力も余剰でしょう。
これらの能力が脱水状態に対する耐性を高めていった結果として得られた副産物なのか……あるいはかつてクマムシはこれらのスペックが要求される環境に晒された可能性も考えられます。
その環境は真空であり、強烈な放射線が飛び交い、絶対零度と水沸点を超える温度だったのかもしれません。
一般に、そのような環境は安定した大気の存在する地球ではなく、宇宙に存在します。
クマムシが宇宙で進化したかどうかはわかりませんが、いずれにしても、有り余るスペックの出所は今後も探求の対象になるでしょう。
研究内容はスペイン、植物バイオテクノロジーおよびゲノミクスセンターのMarina Mínguez-Toral氏らによってまとめられ、8月7日に学術雑誌「SCIENTIFIC REPORTS」に掲載されました。
https://www.nature.com/articles/s41598-020-70431-1
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