パピルスとは、古代エジプトで使用された文字の筆記媒体です。
英単語「ペーパー(Paper)」も、この「パピルス」に由来しています。ボロボロな見た目ですが、当時の高級品は純白で、罫線があるものもあったようです。
その「パピルス」に、性的暴行で告訴された最古の男の記録が残っています。
“Papyrus Salt 124” として知られるこのパピルスには、紀元前1200年ごろの「ペネブ」と呼ばれる職人の不法行為のリストが記されていました。ペネブとは、王族の墓を作っていた職人コミュニティの責任者にあたるポジションです。
そんな高い地位にいた彼ですが、その法的にも倫理的にも許されない行いがファラオの怒りに触れ、その罪状がパピルスに記されたようです。
ペネブが訴えられたのは、性的暴行や姦通。中には生々しい状況が記されたものもあります。例えば、ペネブが “Yemenwaw” といった女性の服を剥ぎ取り、壁に押しやって性的暴行を加えたといったことです。
またペネブが実の息子と乱交を行っていた例もありました。
リバプール大学のエジプト学者、ローランド・エンマーチ氏は、「ペネブは結局、王の墓から何かをくすねた罪によって死刑になっています。彼の性的暴行が死刑に値したかどうかはわかりませんが、王の物を盗むことはそれ以上の罪であったようです」と語っています。
「#MeToo運動」がハリウッドを発端に世界中に広まったことも記憶に新しいですが、3,000年以上前の古代エジプトにおいても、同じ問題が女性たちを悩ませていたようです。