謎を解き明かす2つのヒント
アメーバには行き止まり回避能力が確かにあるという事実はわかりました。
しかし依然として不思議なのは、分岐路における預言者のような行動です。
アメーバがゴール地点にある誘引物質の濃度の濃い方に引き寄せられているのは明白ですが、なぜ分岐路が同じ濃度の誘引物質で満たされていてもハズレを引かないのかがわかりません。
そこでイギリスの研究者たちはアメーバが迷路を攻略する様子をさらに詳細に観察すると共に、コンピュータモデルのシミュレーションを駆使し、謎解明に挑みました。
結果、2つの興味深い事実に気が付きます。
1つめは、迷路を攻略する能力は、なぜか先頭を進む個体が最も高かった点。
そしてもう1つは、先頭集団の通った「後」と行き止まりルートの「先」では誘引物質が枯渇しているという事実でした。
これだけでは全く意味不明の関連性のない現象に思えますが、長年謎解明に打ち込んでいた研究者にとっては全てを直感するには十分でした。
いったい研究者はこの2つの事実から、どんな結末を見出したのでしょうか?
着目すべきは、次の3点です。
1つ目と2つ目は、先に述べた通り「先頭集団の高い攻略力」と「誘引物質の枯渇現象」です。
そして最後の3つ目は、研究者自身が設定した「誘引物質はゴール地点から連続的に少しずつ放出されている」点です。