触手の数を決めるシグナルが存在した
また遺伝学な手法により、イソギンチャクの新たな触手を獲得する過程も調べられました。
結果、イソギンチャクの筋肉細胞には、細胞内の栄養に反応して遺伝子の発現を変化させるシグナル(Fgfrb)が存在していることがわかりました。
このシグナルは、エサが豊富であるとスイッチがオン状態になり、イソギンチャクに触手を作らせます。
また研究者は、上の図のように触手数を決定するシグナル遺伝子を破壊した変異体も作成しました。
結果、変異体は大人になっても触手を生やすことができず、ほぼ筒状の形態に留まっています。
興味深いことに、このシグナルは私たち人間にも存在します。
ただ人間の場合、このシグナルが働く期間は胚発生段階に限られており、シグナルの調整が入る場所も(幸い)手足の数ではなく、内臓となっています。
人間におけるこのシグナルは、胚発生時期に胎児が受け取る栄養の量を、胎児の内臓形成に何らかの形でフィードバックしていると考えられます。