フォトニック結晶を結びつけるのは生物のDNA
フォトニック結晶は、基本単位となる4つのプラスチック粒子の塊(コロイド)が、上の図のような、ダイヤモンド型の格子構造をとることで作られます。
ダイヤモンド型の格子結晶は光を反射する優れた能力をもっており、構成単位となる粒子の設計を変更することで、反射させる光の波長を広くコントロールすることも可能です。
しかし既存の技術では、プラスチック粒子をピラミッド型に組み上げることはできても、それらを寄せ集めて巨大なフォトニック結晶とする方法がわかりませんでした。
ですが研究チームは上の図のように、まず4つのプラスチック粒子を油滴で一つに凝集させ(上図(1))、次いで中央部の油を表面に押し出し(上図(2))…そして最後になんと、押し出された油滴の表面に1本鎖のDNAを張り付けました(上図(3))。
1本鎖のDNAは構造的に不安定なために、他の鎖と結合して2本鎖になろうとするのです。
それはすなわち、4粒のプラスチックの粒子からなる構造が、他の4粒の構造と自動的に結合して、1つの大きな結晶として自律的に成長していくことを意味します。
生命の設計図であるDNAを接着剤として用いるという、見事な発想がこの技術を生み出しました。