デバネズミは目で磁気を感じている可能性がある
アフリカの地下に棲む、デバネズミの一種(学名: Fukomys anselli)は、巣作りにおいて興味深い習性が知られています。
彼らが地下に張り巡らせた巣の多くが、一定方向に向けて広がっているのです。
彼らのこの奇妙な習性は生まれ故郷から離れたドイツの実験室でも再現され、円形の飼育環境において巣は、ほとんどが南西方向に拡張されていきました。
デバネズミが何らかの方法で磁気を感じ取っていると予想されていましたが、体のどの部分で、どのように感知しているかは不明でした。
一方、実験に使われたデバネズミには、他の地下生活をおくるげっ歯類と大きく異なる部分がもう一つありました。
他の地下住まいのげっ歯類の多くは、目が退化を起こして消失していますが、デバネズミの目は光を感じる機能が衰え、もはや目として機能していないにもかかわらず、完全な構造を保ったまま、外部からでも認識可能でした。
そこで研究者らはデバネズミが目を視覚以外の目的…つまり磁気を感知するために使っているのではないかと仮説を立て、検証することにしました。
検証方法として、薬剤などで目の神経を麻痺させることも可能でしたが、麻酔では視神経だけでなく脳の機能まで影響を与える可能性があります。
体の他の部分に影響を与えずに、目の機能だけを奪える都合のいい方法を研究者は思いついたのです。