髪の毛ほどのチューブを使いブラックホール級の磁場を生成
その強大な磁場の発生に使用するのは、なんと人の髪の毛の10分の1ほどの太さの非常に小さなプラスチック製マイクロチューブです。
このチューブ内に強力なレーザーパルスを照射すると、超高温電子が空洞内で膨張し爆縮を起こして真空を生成します。
この真空と荷電粒子が相互作用して強力な電流(電荷の流れ)が発生し、その結果超強力な磁場が生成されるのです。
ここで発生する磁場は約10ナノ秒という瞬く間に消失してしまいますが、物理実験を行うには十分な長さだといいます。
大阪大学の研究者村上氏を始めとした研究チームは、これをスーパーコンピュータでシミュレーションし、現代技術で実現できる可能性を確認しました。
この実験を行うには総出力が10~100ペタワット(1ペタワットは1000兆ワット)のレーザーシステムが必要ですが、10ペタワットのレーザーはすでに欧州の一部で実用化。100ペタワットレーザーの開発計画は、中国などが行っていると2018年に科学誌『Science』で報告されています。