シンプルな模様にするだけで、光の吸収率が2倍以上になる
研究チームはわずか1μmの厚さの結晶シリコンによる6種類のソーラーパネルをシミュレートし、それぞれの性能を比較しました。
用意したのは、次の異なった模様構造です。
- (a)grating lines:いわゆる格子模様。これまでにも作られており、わずかな効率上昇しか得られていませんでした。
- (b)crossed lines:ラインを交差させたような模様。
- (c)checkerboard:格子模様を正方形に切り取り、交互に並べた模様。
- (d)pentagon:格子模様を五角形に切り取り、並べた模様。
- (e)farrago:「寄せ集め・ごた混ぜ」という名前の通り、かなり複雑に格子模様を切り取り並べたもの。
- (f)QR supercell:QRコードのように小さなドットが集まった模様。
テストの結果、(c)checkerboardが、他のセルに比べてより多くの電流を発生させると判明。模様の無い従来のソーラーパネルと比較して発生電流が125%も増加したのです。
ちなみに、このcheckerboard模様では、凹部でより多くの光を吸収するとのこと。
これまでにも複雑で洗練されたデザインのソーラーパネルが開発されてきましたが、今回の研究によって表面構造を単純な模様にするだけで、それらに匹敵する光吸収率が得られると判明したのです。
しかもこの模様は非常に単純なため、製造が容易であり、他の複雑なソーラーパネルパターンよりも頑丈かもしれないとのこと。
さらに研究チームはcheckerboard模様型の薄いソーラーパネルを製造するなら、セル製造に使用する資源の費用対効果が10倍になるとも考えています。
シュスター氏によると、「原理的には、同じ量の材料で、10倍の太陽発電が可能になります」とのこと。
この非常に効率的な新しいデザインは太陽光発電の普及を推し進めるものとなり、将来的にはエネルギー問題や環境問題の解決に大きく役立っていくことでしょう。