音速と衝撃波の歴史
![超音速を破壊的なソニックブームなしに実現する技術を開発](https://nazology.kusuguru.co.jp/wp-content/uploads/2025/02/03d2e66aabb84588133df4c8e342fcb0-900x506.jpg)
超音速飛行は、かつてコンコルドが実現したように大きな期待を集めましたが、その際に問題となったのがソニックブーム(衝撃波による大音響)です。
陸上を飛行した場合、爆音のような衝撃音が地表に達し、住民への騒音被害や建物への影響が懸念されました。
実際にコンコルドは乗客に支持されたものの、運航コストの高さや騒音規制などの課題が重なり、2003年に退役を余儀なくされました。
以降、ソニックブームをどう抑えるかが超音速機開発の大きなテーマとなりました。
とくに陸上での超音速飛行が各国の法律で厳しく制限されています。
もし何も対策せずに地上で超音速飛行を行い衝撃波を発生させれば、どんなヒーローもきっと逮捕されてしまうでしょう。
「地上に騒音を響かせない超音速旅客機」の実用化は長らく“技術的かつ規制的”なハードルとなってきたのです。
こうした背景のもと、米国コロラド州を拠点にするベンチャー企業「Boom Supersonic社」は、次世代超音速旅客機の開発に挑戦している企業の一つです。
同社は将来的に「Overture(オーバーチュア)」という世界最速の旅客機を商業化することを目標としており、そのための実験機が「XB-1」です。
XB-1は、超音速飛行時の騒音や飛行特性を実地で検証する目的で開発されました。
近年報告された実験では、音速の壁を突破したにもかかわらず、地上でソニックブームがほとんど観測されなかったという結果が得られ、大きな注目を集めています。
Boom Supersonic社は、この「静かな超音速飛行」の実現を“Boomless Cruise”と呼び、将来の旅客機オーバーチュアにも搭載する計画を進めています。
さらに、Boom Supersonic社は、高度な大気予測と飛行速度制御を組み合わせることで、マッハカットオフ現象を利用し、「陸上でもソニックブームが届かない超音速飛行」を目指しています。