超音速を破壊的なソニックブームなしに実現する技術を開発
超音速を破壊的なソニックブームなしに実現する技術を開発 / Credit:Boom Supersonic
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超音速を破壊的なソニックブームなしに実現する技術を開発 (3/3)

2025.02.14 23:00:08 Friday

前ページマッハカットオフのメカニズム

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超音速を出してもソニックブームが地上に届かないことを確認

超音速を破壊的なソニックブームなしに実現する技術を開発
超音速を破壊的なソニックブームなしに実現する技術を開発 / Credit:Boom Supersonic

Boom Supersonic社による実験機「XB-1」の初の超音速テスト飛行は、2025年1月28日に行われました。

このフライトで、XB-1はマッハ1.12程度まで加速し、3回にわたって音速の壁を突破したと報告されています。

続く2月10日にもテスト飛行が実施されました。

ソニックブームの有無を客観的に検証するために、飛行経路の下方に複数のマイクロフォンアレイが配置されました。

これらの特殊なマイクロフォンは、音量だけでなく衝撃波の特徴的な波形を高精度で記録できるように設計されています。

結果、XB-1が超音速に達したにもかかわらず、地上ではソニックブームのピーク音圧を検出できず、「人間の耳で認識できるほどの爆音が到達しなかった」ことが確認されました。

Boom Supersonic社は今回の実測データをもとに、従来のソニックブーム伝播モデルや、自社開発の「マッハカットオフ解析アルゴリズム」を比較検証しています。

テスト飛行で集められた実測値は、シミュレーションで予想された“Boomless Cruise”の条件とほぼ一致しており、衝撃波が地表まで届かない可能性を裏付ける形となりました。

こうした正確な大気・音響データの取得によって、マッハカットオフの発生をさらに細かく予測・制御できるようになったと報告されています。

ただ、マッハカットオフ飛行はいいことばかりではありません。

マッハカットオフ飛行の際には通常の亜音速や超音速飛行よりも燃費が悪化することが知られています。

マッハカットオフを行うには、高度や飛行速度の微妙な調整を繰り返す必要があり、最適燃費から外れやすいのです。

この問題は将来的な実用化を考える上で無視できない要素であり、Boom Supersonic社としては、エンジン(Symphony)や高度制御システムの改善によって、マッハカットオフ飛行の経済性や環境性能を高めることが重要な課題となっています。

しかし、今回の実験で新たに得られたデータは、「音速の壁を超えてもソニックブームが地上に届かない可能性がある」という理論を実証した点で画期的です。

これまで超音速飛行と強力な衝撃音は切り離せないと考えられてきただけに、Boom Supersonic社の実験結果は今後の航空機開発に大きな影響を与えると期待されています。

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超音速を破壊的なソニックブームなしに実現する技術を開発 (3/3)のコメント

やまでら小僧

海上には様々な船舶 漁業従事者 その他も 散在していますが その方々には 普通(超音速)飛行時には 衝撃がどう届くのか気になりだした
高高度を飛べば 気にならないレベルなんだろうか その高度は 成層圏の上なのかな

ゲスト

てっきりソニックブームが発生しない技術かと思ったけど あくまでソニックブームが地上に届かないってだけの技術かよ
紛らわしい

ZZRichie

マッハ衝撃波カットオフ飛行の、理論式(実験式でも良いが),どの様な,変数項が入って、燃費が悪化するのだ氏か?
BoomSuper sonic 社は、風洞実験を繰り返して、発見したのがとても興味が有る。

ともあれ、M=1,12を超えては減速して、3回加速突破したと言う。AIに聞いてみよう(^^)

どんた

衝撃波は典型的には機体先端を頂点とする円錐形にできる。実体は圧力の不連続だから、大気密度が一様でないと「きれい」な円錐にならないし急峻な圧力変化が崩れ、遠くの雷みたいにドロドロ鳴るはずってことかな。雷もすぐそばだとドカンと一発だけだし仮に高気圧だと音波も避けてくしな。だけど遠方の気圧なんてどやって測るんだろうね。3次元気象レーダで航空路前方の気圧分布を測るのかね。なんか投資詐欺の香りもするねぇ

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    原文みたら協力会社が旅客機系サプライヤーだらけだし、USエアフォースも協力してる 
    どうみても投資詐欺の段階はとうに越えてる

    Marx

    投資詐欺ではないですよ。
    Boom SupersonicはJALも導入を予定しているOvertureの製造会社です。

のぶぶ

マッハカットオフ飛行は1960年にNASAが発見したようです。
高度1万 m以上をマッハ1.2で飛行するだけでいいそうな。
役に立つ場合もありそうだけど、高度が低かったり、速度が早くなるとダメだと使い道あるのかな?

ひろろ

割と批判的な意見多いね
記事ちゃんと読むと、確かにタイトルほどの印象はないかも
すごい技術なんだろうけど…
制約が厳しそう

ゲスト

屈折ではなく、ホイヘンスの原理による波面の変化ですかね。
大気中ではそこまで不連続な境界面はできません。

ゲスト

燃費上最適な速度≠マッハカットオフ可能な速度 なので、カットオフを優先すると燃費が悪化するって理屈なのかな

ゲスト

海上に出たら普通に音速で飛べばいいので結構有効な技術だと思う。

果歩氏

>つまり、マッハカットオフは「音速を超えれば必ず大きなソニックブームが出る」という従来の常識を覆す、大気の屈折効果をうまく利用した現象なのです。

ソニックブームは出ますよね。
にしても、別にコンコルドでもいいんじゃね?って思いました。

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