水素ハイドレートは水素と水の結晶
燃える氷として知られているメタンハイドレート(メタン水和物)は、深海の低温高圧な条件において、メタン分子の周りに水分子が集まって結晶化することで形成されます。
結晶化して固体になったメタンハイドレートの中には大量のメタンガスが含まれており、1立方メートルの結晶からは160立方メートルのガスを抽出することが可能です(25℃で1気圧の場合)。
ですがハイドレート化(水和)可能なものはメタンだけではありません。
水素時代の燃料として期待されている水素も理論上は、ハイドレート化することで水分子の内部に大量に閉じ込めることが可能となり、輸送や貯蔵のために必要なスペースを節約できます。
しかし既存の技術では、1つの水分子あたり2つの水素を閉じ込めるのに38万気圧(38ギガパスカル)もの高圧が必要でした。
このような超高圧は特殊な装置を備える実験室でのみ達成可能であり、実際の輸送・貯蔵手段とすることはできません。
ですが今回の研究では3つの水分子で1つの水素を閉じ込めることで、必要な圧力をはるかに低く(30分の1以下に)することに成功しました。
より低圧の条件において水は上の図のように、水素分子を囲むチョウチンのように機能します。