石油は「ある条件をクリアした場所」でしか採れない
最終的にできる石油の組成は、最初の堆積物の種類と、地熱・圧力の違いで変化します。
例えば、高温下でできた石油はサラサラして透明度が高く、ガソリンに近いです。反対に、比較的低い温度でできた石油はドロドロして黒く、タールのような粘性をもちます。
そして、有用な石油が採れる確率は15〜60%とこれも様々です。
石油の採取が難しいのは、それが地下の一カ所に溜まっていることが滅多にないからと言われます。
石油は、よく水と一緒に岩石の中に染み込んだ状態にあり、採取にはそれを分離する作業が必要です。
さらに、利用可能な石油が溜まる場所(層)は、限られた条件下にしかありません。
まず、石油が溜まる岩石は穴がたくさんあって(多孔質)、中の液体や気体が滲み出てこれる状態が必須です。
次に、その岩石の上に「トラップ(高密度で穴のないフタのような層)」があり、穴から出た石油が海に漏れ出さないようになっていなければなりません。
さらに、石油と天然ガスを閉じ込める「キャップロック層(帽岩)」も必須です。
こうした条件がそろった場所にのみ、石油が産出する「油田」が出来上がります。
中東にはこの条件をクリアした鉱床がたくさんありますが、産油量が多さには他にも理由があったのです。