カオスな光の経路を見る
光の経路をたどるというのは非常に困難な観測ですが、今回の研究は圧縮超高速写真(CUP)という技術を利用した超高速カメラを利用しました。
CUPカメラは、現在世界最高速のカメラで、ワン氏の別の研究では毎秒70兆フレームの撮影も可能であることが実証されています。
このCUPカメラは、1度に1フレーム撮影する従来のカメラとは異なり、すべてのフレームを1度に撮影します。
これが、光の無秩序な経路全体を1度にキャプチャすることを可能にし、カオスシステムの研究に役立つというのです。
カオスシステムは毎回動作が異なるため、1度にすべてをキャプチャするということが非常に重要になります。
カルフォルニア工科大学のHPでは、従来のカメラは飛んでくる鳥の体の一部しか撮影できないようなものだったと説明しています。
カラスのくちばし、コウノトリの首、アヒルの羽、タカの尻尾、それらを最後に合成しても意味のある写真にはなりません。しかし、CPUカメラは1度に全体を撮影できるというわけです。
こうして容器の中で反射する光を記録したところ、同じように照射されたレーザー光が、ランダムに経路を変えていく様子が観察されました。
カオスな光の動きをキャプチャするCUPカメラの能力は、今後、物理学や通信暗号化に応用できる光学的カオスの研究に命を吹き込むものだと、とワン氏は研究の意義について語っています。
実験による観察が困難だったカオス理論の実証が、可能な方法が発見されました。
これが今後、再びこの研究を熱く盛り上げる原動力になるかもしれません。