韻律で作られる話者の誠実さと確実性
話している人物のもたらす情報が信用できるものであるか? また話者は誠実な人間であるか? 私たちがこうした印象を決定するメカニズムは、まだ明確にされていません。
フランス国立音響音楽研究所(IRCAM)などの研究チームはこの問題を実験から明らかにしようと試みました。
チームはこの研究のために、音声信号処理技術を使ったオープンソースのソフトウェア「CLEESE」を開発し、単語のランダムな発音(ピッチの上昇や下降)を作成しました。
そして、複数の参加者グループに、この作成された音声が信頼できるかどうかという質問を行ったのです。
するとそこからは、明確な韻律のパターンが見つかったのです。
チームによるとその韻律とは、発話の速度が速く、単語の途中の強度が強く、単語の終わりでピッチが下がるというものです。
これは聞き手の母国語に依らず、少なくとも現在3つの言語(フランス語、英語、スペイン語)で同様に認識されていて、脳によって自動的に登録されていることが示されたといいます。
コンピュータで合成された音声であっても、一致してこの特徴が検出されると研究は報告していて、どうやら人は話の韻律から無意識に信頼性を判断する方法を持っているようなのです。
研究は今後、話者の意図に基づいてそのような韻律がどのように作り出されるのかを焦点に研究を進めていくと語っています。
音は人が相手に情報を伝達するための重要な道具ですが、そこには信頼性も付与されている可能性が高いようです。
たしかに、声の調子や通りがカリスマ性と関連するといった説も存在しています。
声は思いの外、人とのコミュニケーションにとって重要な要素であるようです。
今回の研究では、日本語は対象となっていませんが、あまり人から信頼が得られないという人は、ひょっとすると声に問題があるのかもしれません。