経口ケタミンによって患者の3分の2以上は自殺願望から解放される
研究チームは、「簡単に投与できる経口ケタミンは、自殺願望の治療のための魅力的な選択肢です」と述べています。
そして「しかし、自殺願望治療用の低用量経口ケタミンの実用可能性を調査した研究はありません」と付け加えました。
そのためチームは、32人の成人患者に6週間にわたって低用量の経口ケタミンをオレンジジュースに混ぜて投与しました。
参加した患者は皆、非常に長い期間にわたって自殺願望を抱えており、不安または人格障害などの様々な精神的問題も持っていました。
多くの患者が「自分は回復しない」とあきらめた状態だったのです。
そのような慢性的な状態にもかかわらず、ケタミン投与後から自殺願望は徐々に減少。
6週目の時点で、69%の患者の自殺願望がカットオフ値(陽性・陰性を分ける値)を下回りました。
つまり、多くの患者たちは自殺願望から解放されていたのです。
また最終投与から4週間後に行なわれた追跡テストでは、自殺願望が少しだけ大きくなっていたとのこと。これはケタミンの効果が時間と共に薄れることを示唆しています。
しかしこの時点でさえ、治療前の自殺願望レベルと比べておよそ50%減少した状態であり、経口ケタミンが自殺願望治療に効果的であることを証明しています。
ちなみに、今回の研究で観察された反応は静脈注射試験の結果と一致しており、経口投与が実行可能な代替医療であることも示唆されました。
ただし、許容できる範囲とはいえ、一時的な副作用(解離体験・めまい・吐き気)も確認されており、将来の研究で安全性が十分確立されるまでは、医学的監督下で服用されるべきとのこと。
追加の試験はまだ必要ですが、将来的には自殺願望で苦しむ人を救うものとなるかもしれません。