リンゴは脳細胞を増やす効果がある
リンゴの効果を確かめるにあたって研究者たちが着目したのは、抗酸化作用・抗炎症作用・抗動脈硬化作用・脳血管症予防・抗腫瘍作用、降圧作用、高い血管弛緩作用など、人に有益な効果を多く持つ健康物質「ケルセチン」でした。
リンゴにおいてはケルセチンは皮の部分に多く含まれていることが知られています。
今回研究者たちはまず、リンゴから抽出したケルセチンと、同じくリンゴから抽出されたDHBA(ジヒドロキシ安息香酸)を、げっ歯類の脳から取り出した幹細胞に加えてみました。
結果、ケルセチンとDHBAの両方に新しいニューロンの生成を促し、細胞死を防ぐ効果がみられました。
この結果は、リンゴに含まれる健康物質が神経発生と呼ばれるプロセスに有意にプラスの効果を与えていることを示します。
ただし、この結果は生きている動物の体で起きたわけではありません。
培養した細胞で起きたことが生きている動物でも必ず起こるとは限らないのです。
そこで次に研究者たちは、リンゴから高濃度のケルセチンとDHBAを抽出し、マウスの口に、それぞれの物質を流し込みました。
結果、マウスの脳では幹細胞が増加し、より多くのニューロンが生成されていることが示されたのです。
またニューロンの生成量を測定した結果、適切な運動を行った時と同程度の増加量であることも示されました。