世界中の空をオーロラと雷雨が覆った
4万2千年前に磁極遷移が起こり、地球磁場が大きく弱まっていたとしたら、そのとき地球は紫外線や宇宙線からのバリアを失っていたことになります。
空気粒子は宇宙線によって引き裂かれイオン化(電離)し、世界中に気候変動を引き起こしていたでしょう。
このとき、世界中の空にオーロラの光が覆っていたと考えられます。
さらにはイオン化した大気によって頻繁な雷雨も発生していたと考えられます。
「初期の人類にとっては、この世の終わりのような光景に見えたことでしょう」とクーパー教授は言います。
この時期は、運のいいことに太陽の表面活動は非常に弱まっていたと言われていますが、地球に降り注ぐUV(紫外線)レベルはかなり高かっただろうと予想されます。
初期の人類にとって、急激に高まった紫外線からの避難所として洞窟は重要な場所になったと考えられます。
手形が残る一般的な洞窟壁画は、この土が日焼け止めとして使用されていた可能性を示しています。
これは現代に残る一部の部族でも使用されている技法です。
屋外に作られた古代人の芸術作品は侵食されて失われたでしょう。しかし、洞窟に作られた壁画は長く残ることになります。
4万2千年前に突如として洞窟壁画が始まったように見えるのは、古代の人類が紫外線を避けるために洞窟へ逃れた痕跡だったのでしょう。
実は磁極反転は最近も起こりつつあるという懸念が指摘されています。
アメリカ海洋大気庁の報告では、ここ120年の間に北磁極の急激な移動が続いていることを報告しています。
地球では磁極の移動は、地球内部のコアの活動によって割と頻繁に起こるとされています。
もし、現代に磁極反転が起きれば、衛星や電力網が大打撃を受けることになり、社会的な混乱を引き起こすことは明白です。
できれば、しばらくそんなことは起きないでもらいたいものですが、こればかりは地球の気まぐれでどうしようもないことでしょう。