海底の光ファイバーケーブルを利用して地震を検知する
現在、国際通信のほとんどは海底に敷かれた光ファイバーケーブルによって成り立っています。
他の通信技術と比べてタイムラグが少なく品質も高いので、国際映像中継や国際電話、インターネットなどに利用されているのです。
そして、これら海底に張り巡らされたケーブルは、本来の用途とは異なった仕方で活用できるかもしれません。
研究チームは、海底ケーブルに加わる圧力とひずみの変化を測定することで、地震や嵐を検知しようとしたのです。
結果として、チームは9か月間で、嵐による海のうねりを約30回、マグニチュード5以上の地震を20回検知できました。
これには2020年6月にメキシコのオアハカ州沿岸で生じたマグニチュード7.4の大地震も含まれていたとのことです。
既存設備の応用が世界の地震検知課題を一気に解決するかも!
この応用技術が生まれた背景には「地震検知器設置の難しさ」がありました。
海底に地震検知器機を配備・維持するのは難しく、莫大な費用がかかります。そのため水中地震観測所の数は少なく、世界中の地震をカバーすることができません。
ですから、既に世界中の海底に張り巡らされているケーブルを利用することは、柔軟で画期的な手法と言えるのです。
今回の研究はGoogleの光ファイバーケーブルだけを利用しましたが、すべての海底ケーブルの合計は100万km以上です。
Zhan氏は、「100万kmに及ぶ海底の光ファイバーケーブルのほんの一部をセンサーとして使用することができれば、地震データの量と範囲が大幅に改善されるでしょう」と述べています。
今回の研究は、世界中の地震被害を抑えるターニングポイントになるかもしれませんね。