海底の光ファイバーケーブル
海底の光ファイバーケーブル / Credit:Depositphotos
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海底の「光ファイバーケーブル」を使って地震を検知することに成功 地震対策のターニングポイントとなる?

2021.02.28 Sunday

世界中の海底には合計100万km以上の光ファイバーケーブルが張り巡らされており、国際通信の99%を担っています。

アメリカ・カリフォルニア工科大学に所属する地震研究者Zhongwen Zhan氏は、Googleの研究者と共に、Googleが所有する1万kmの光海底ケーブルを利用して地震を検知したと発表。

海底に敷かれた既存の光ファイバーケーブルは、水中地震検知器として役立つのです。

詳細は、2月26日付けの科学誌『Science』に掲載されました。

Google uses underwater fibre-optic cable to detect earthquakes https://www.newscientist.com/article/2269324-google-uses-underwater-fibre-optic-cable-to-detect-earthquakes/
Optical polarization–based seismic and water wave sensing on transoceanic cables https://science.sciencemag.org/content/371/6532/931

海底の光ファイバーケーブルを利用して地震を検知する

ケーブルの圧力やひずみの変化から地震を検知
ケーブルの圧力やひずみの変化から地震を検知 / Credit:Depositphotos

現在、国際通信のほとんどは海底に敷かれた光ファイバーケーブルによって成り立っています。

他の通信技術と比べてタイムラグが少なく品質も高いので、国際映像中継や国際電話、インターネットなどに利用されているのです。

そして、これら海底に張り巡らされたケーブルは、本来の用途とは異なった仕方で活用できるかもしれません。

研究チームは、海底ケーブルに加わる圧力とひずみの変化を測定することで、地震や嵐を検知しようとしたのです。

結果として、チームは9か月間で、嵐による海のうねりを約30回、マグニチュード5以上の地震を20回検知できました。

これには2020年6月にメキシコのオアハカ州沿岸で生じたマグニチュード7.4の大地震も含まれていたとのことです。

既存設備の応用が世界の地震検知課題を一気に解決するかも!

この応用技術が生まれた背景には「地震検知器設置の難しさ」がありました。

海底に地震検知器機を配備・維持するのは難しく、莫大な費用がかかります。そのため水中地震観測所の数は少なく、世界中の地震をカバーすることができません。

ですから、既に世界中の海底に張り巡らされているケーブルを利用することは、柔軟で画期的な手法と言えるのです。

今回の研究はGoogleの光ファイバーケーブルだけを利用しましたが、すべての海底ケーブルの合計は100万km以上です。

Zhan氏は、「100万kmに及ぶ海底の光ファイバーケーブルのほんの一部をセンサーとして使用することができれば、地震データの量と範囲が大幅に改善されるでしょう」と述べています。

今回の研究は、世界中の地震被害を抑えるターニングポイントになるかもしれませんね。

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