・イェール大学の研究チームが、豚の脳を体から引き離して36時間「生かす」ことに成功
・正式な研究発表が待たれるが、公開されれば倫理的な問題をはじめ大きな議論を巻き起こすとみられる
イェール大学の神経科学者ネナド・セスタン氏率いる研究チームが、豚の頭から脳を取り出し、それが体から切り離された状態で36時間機能させることに成功しました。彼らは、食肉処理場で殺された豚を使用してこの実験を行ったとのこと。
Researchers are keeping pig brains alive outside the body
https://www.technologyreview.com/s/611007/researchers-are-keeping-pig-brains-alive-outside-the-body/
“National Institutes of Health” で開かれた、脳研究の倫理的な問題について話し合うミーティングで報告されたこの実験。研究チームは “BrainEx” と称されるシステムを用いて脳細胞を健康に保ち、通常通りの機能を維持することに成功したと語っています。“BrainEx” では、酸素を含んだ人工の血液が、脳の主要なエリアに送られました。
MIT Tech Review において明かされたこの詳細ですが、正式な研究発表はまだありません。そして研究が公となれば倫理的な問題を含め大きな議論を呼ぶことになるでしょう。しかし倫理的な問題はともかく、この研究の意義は大きいといえます。もしこれを人間に応用することが可能となれば、「生命」の概念が根底から変わりかねません。「死」、「意識」、「魂」、そして「人間」とは何なのか。全ての考え方が一新される可能性があるのです。
セスタン氏は、「脳が半永久的に活動を続け、それにより意識や記憶の回復が試みられることは想像に難くありません」と語っており、そういった実験をしなかったことについては、それが「未知の領域」であるといったことを理由に挙げています。
しかし、その「脳」は本当に「思考」していたといえるのでしょうか?
この実験では、脳の膨張を防ぐために化学物質を使用していたため、意識を保つことは不可能であったかもしれないとのこと。そのため、本当に脳が体を離れて「考える」ことができるかどうかについて、まだ確実なことはいえません。
そして研究チームは、倫理的な問題も強調しており、この技術を人に応用させるには多くのステップを要するとしています。
まだまだ問題は山積みのようですが、私たちが一度は夢見たことのある「不死身」への道は、今ここに始まったのかもしれません。
https://nazology.kusuguru.co.jp/archives/6615
via: medicalxpress, thenextweb / translated & text by なかしー
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