病気のニオイを嗅ぎ分けるイヌたち
イヌは人間にはまったくわからないニオイを嗅ぎ分ける能力を持っていて、現在では、がん患者を見つけるなど医療探知犬の研究も進んできています。
今回の研究を発表したペンシルベニア大学獣医学部のシンシア・オットー氏は、同大学のワーキング・ドッグ・センターで卵巣がんを見つけ出す医療探知犬の訓練に長年携わってきた研究者です。
彼女は、今回のパンデミックにおいて、この専門知識を活かして、新型コロナウイルスをイヌの能力によって検出できないか研究を行ってきました。
以前の研究で、オットー氏は「Tシャツ研究」と名付けた調査において、新型コロナ陽性患者と陰性者、ワクチン接種者が一晩着用したTシャツからニオイの成分を取り出し、イヌが嗅ぎ分けるよう訓練を行っています。
今回は、その研究を発展させ、さらに数百以上のサンプルを集めて訓練を行いました。
イヌが感染症のニオイを検出するというのは、それほど単純なことではありません。
この場合、イヌは男性と女性、大人と子供、異なる民族や地域の人々など、さまざまな人々の背景にあるニオイを理解しなければなりません。
このためには、より多くのサンプルを使った訓練が必要になるのです。
今回の研究では、ペンシルベニア大学ペレルマン医学部のイアン・フランク教授とフィラデルフィア小児病院のオードム・ジョン教授が、それぞれ成人と子供の新型コロナ陽性患者サンプルと、陰性患者サンプルを提供してくれました。
もちろんそのまま使ってはイヌが感染してしまうかもしれないので、これらサンプルは医学大学院のスーザン・ワイズ氏の強力のもと、ウイルスの不活性化処理が行われました。
こうしてイヌが嗅いでも安全なサンプルを使って訓練が行われました。