成熟に55年、寿命は100年に達すると判明!
27匹のシーラカンスは、1953〜1991年にかけて、モザンビークとマダガスカルの間に位置するコモロ諸島付近で捕獲されたもの。
内訳は、成熟したオス11匹、メス13匹、幼魚が1匹に、胎仔(たいし、メスの体内で成長中の稚魚)が2匹です。
研究チームは、偏光顕微鏡を用いて、各個体のウロコの年輪を観察しました。
シーラカンスのウロコは、樹木の年輪と同様に、環状の石灰化した縞模様が年々重なっていくので、年齢を調べるのに有用です。
研究主任のケリーグ・マエ(Kélig Mahé)氏は「これまでは普通の顕微鏡を使っていましたが、偏光顕微鏡により、ウロコの年輪がほとんど気づかないほど薄いことが分かりました」と話します。
結果、27匹のシーラカンスのうち、6匹が60歳代、1匹が84歳であることが判明しました。
「これまでシーラカンスは急速に成長すると予想されていましたが、実際は非常にゆっくりペースだった」とマエ氏は言います。
また、成熟までの期間は個体・性差を考慮しても40〜70年、平均で55年と特定され、寿命は100年に達すると推定されました。
さらに、2匹の胎仔のウロコを調べたところ、年齢は5歳に達していました。
これまでシーラカンスの妊娠期間は約1〜2年と見られていましたが、この結果により、胎仔は母親の胎内で5年ほど過ごすことが示されています。
これは3年の妊娠期間を持つ深海魚のラブカより長く、脊椎動物の中でも最長です。
マエ氏は「本研究から、シーラカンスは最も成長が遅く、最も妊娠期間が長い生物の一つであることが明らかになりました」と述べています。
このゆったりペースこそ、個体としても種としても長生きな理由なのかもしれません。