航空機搭載型レーザー兵器
新しいレーザー兵器にはまだ名前がありませんが、それは航空機に搭載され空中から、弾道ミサイルを撃墜するために使用できるといいます。
現在同省とエルビット・システムズは地上レーザー兵器の開発も進めていて、2025年には射程距離8~10kmのものが運用可能になると話します。
しかしレーザー兵器にとってネックとなるのが、悪天候によるパフォーマンスの低下です。
レーザーは空気中の微粒子によってどんどん減衰してしまうため、雲に遮られてしまうと有効に機能しなくなってしまいます。
航空機搭載型のレーザー兵器は雲の上で運用できるため、そうした悪天候の影響を受けず、地上型レーザー兵器より利用の制約が少なくなる利点があります。
エルビット・システムズでは、すでに航空機に搭載されたレーザー照射で、熱源を追うミサイルを目隠しする「C-MUSIC」という兵器も製造しています
しかし、今回のレーザー兵器は同様の追跡技術を使用していますが、出力は高く標的を加熱して数秒で燃え尽きるように破壊するのだといいます。
現在のテストでは1kmの範囲内にあるドローンの撃墜に成功していますが、数年後には射程距離20km、100キロワットのプロトタイプが登場する予定だとロテム准将は語っています。
実際そのとおりに計画が進むかどうかは現時点ではわかりませんが、空中からドローンを撃ち落とすという試験に成功した例は、世界でも今回がはじめてだといいます。
For the first time ever: the Israel MOD and @ElbitSystemsLtd and the IAF have successfully completed a series of interception tests employing an airborne, High-Power Laser system. Israel is among the first countries in the world to demonstrate such capabilities. 1/3 pic.twitter.com/F0Egg6HUI6
— Ministry of Defense (@Israel_MOD) June 21, 2021
イスラエル国防省の公式Twitterアカウントでは、その成果が報告されています。
公開されている写真では、レーザーの照射を受けて炎上しているドローンの姿が映っています。
テレビでも報道されているように、現在イスラエルでは、短距離ロケット弾を撃ち落とす「Iron Dome(アイアンドーム)」をはじめ、弾道ミサイルを撃ち落とす「David’s Sling(デビッドスリング)」や「Arrow(アロー)」といった多層防空システムを敷いています。
今回の航空機搭載型レーザーも、雲の上から弾道ミサイルを撃ち落とす能力があり、こうした防空システムに組み込まれ運用される可能性があるようです。
レーザー兵器を搭載した戦闘機が飛び交う戦場なんて、ゲームの中だけの話かと思っていましたが、案外そんな時代はすぐにやってくるのかもしれません。