1基で「ヨーロッパ8万世帯分」の電力を賄える
今、世界中で再生可能エネルギーへの投資がかつてないほど高まっています。
その反面、環境への影響という点では、それぞれに問題があるようです。
太陽光発電は断続的であり、水力発電のダムは地域の野生動物に悪影響を与え、地熱発電は高価で利用しにくいなどの問題があります。
風力発電も例外ではありません。
大きな欠点の一つが、メンテナンスにかかるコストです。
一般に、風力タービンの運用・メンテナンス費は、ライフサイクルコスト(製造〜運用終了までにかかる全費用)の25〜30%を占めます。
「この点、Windcatcherには利点がある」と同社CFO(最高財務責任者)のロニー・カールセン氏は言います。
「現在の海上風力タービンでは、メンテナンスや風車の設置に、大型クレーンを搭載した多くの専用船が必要です。
しかしWindcatcherは、エレベーターシステムを搭載することでクレーンを必要としませんし、重作業はすべて甲板で行います。
また、従来の風力タービンは耐用年数が30年程度ですが、Windcatcherは50年に達します。
これにより、運用コストを大幅に削減することが可能です」と説明します。

もう一つの課題は、いかにして潜在的な出力を最大化するかということです。
従来のタービンでは、風速が12m/sに達するとブレードが回転し始めますが、ブレードがあまり速く回転しないよう、それ以上には加速しません。
一方のWindcatcherは、個々のローターを小さくすることで、風速17〜18m/sと速いスピードで回転できます。
設計者のアスビョルン・ネス(Asbjørn Nes)氏によると、5基のWindcatcherで、従来の海上風力タービン25基分の発電量に相当するとのこと。
さらに、全体的な効果として、年間のエネルギー出力が500%向上し、1基でヨーロッパの8万世帯分の電力を賄うことができます。

もう一点の懸念事項は、生態系、とくに海上を飛ぶ鳥への悪影響です。
現在の風力タービンは、細長い風車が1本立っているようなものなので、鳥の群れがそれに気づかず、激突する事故があります。
カールセン氏は「この問題を指摘する声は多く、私たちも真剣に解決策を考えています。
現時点では、ブレードを黒くすることで視認性を高める案を計画しています。これは従来の風力タービンでも大きな効果をあげている方法です。
また、Windcatcherは高さ、幅ともに巨大なので、鳥がぶつかることも少ないでしょう」と述べています。
では、Windcatcherの完成時期はいつ頃になるのでしょうか。