細菌の進化が速い原因
感染症とは、傷口に細菌が入り込むことで発生します。
これを防ぐための有効な手段は、体に入り込んだ細菌を殺菌する抗生物質を飲むことです。
ただ、抗生物質の乱用は、耐性菌を生む危険が高いという話も、耳にしたこのある人は多いでしょう。
細菌は短い期間で、容易に抗生物質への耐性を獲得する場合があります。
1度耐性を獲得されてしまうと、以後は同じ抗生物質でその細菌を退治することができなくなってしまいます。。
これは、私たちとしては大問題です。
そして、スーパーバグ(多剤耐性菌)はこうしたプロセスを繰り返して、複数の抗生物質に対する耐性を獲得してしまった無敵の細菌です。
こうした存在が増えると、私たちは感染症への対抗手段を極めて制限されることになってしまいます。
耐性菌と新しい抗生物質の開発は、もはやイタチごっこの状態で、延々と続けば人間側が不利であることは明白です。
お医者さんで抗生物質が処方されたときは、必ず飲みきってください、と使用について特に厳しく注意されますが、これは半端な薬の使い方で耐性菌を作らないためです。
しかし、耐性菌とはいわば恐竜が滅びる中、寒冷化した地球環境に適応した哺乳類のようなもので、他より進化した種です。
いくら細菌の進化が速いと言っても、ものの数日で抗生物質への耐性を獲得してしまうメカニズムは、進化微生物学の分野でも謎の多い問題でした。