宇宙で高速回転する天体
宇宙には非常に極端で特殊な天体が数多く存在しています。
その1つが「パルサー」と呼ばれる回転する中性子星です。
中性子星は非常に重い恒星が、その人生の最後に超新星爆発を起こしたあと形成される超高密度のコンパクトな天体です。
これは名前の通り中性子で作られた星ですが、星全体が原子核以上に高密度に中性子が集まった状態となっています。
直径は数10キロメートル程度しかありませんが、その極端な高密度のために、中性子星は小さじ一杯で40億トンもの質量があります。
これが非常に強い磁場を持ち回転したとき、パルサーという天体になります。
パルサーは曲方向から強力な電磁放射を行って回転しているため、宇宙の灯台と例えられることもありますが、その回転速度は異常なほど速く1秒間に30回転もします。
しかし、こうした特殊な天体を星の中に数えなければ、今回発見された白色矮星は、観測された中でも最速の星になるというのです。
パルサーのように高速回転する白色矮星が最初に発見されたのは、日本の埼玉大学の寺田氏らの研究チームによる衛星すざくを使った観測からでした。
このとき発見されたのは「みずがめ座AE星」と呼ばれる白色矮星で、約33秒で一回転していました。
白色矮星が高速で回転している原因は、隣接するもう一つの恒星の影響によるものです。
高速回転する天体は、基本的に連星となっていて別の恒星と一緒になって回りあっています。
白色矮星が、この伴星から物質を奪い取って回転し続けると、その重力エネルギーによって回転が加速されていき、現在のような高速回転になるのです。
「LAMOST J0240+1952」の場合は、その周りに赤色矮星が回っており、ここから落下するガスが、まるで水車のように白色矮星を回転させていました。
ちなみに太陽の自転周期は約25日(流体のため極では30日)です。
宇宙では、上には上がいるのでしょうが、記録上もっとも速い回転をする白色矮星の24.93秒は、驚きですね。