8割近くの記事が「タイトルしか」読まれない?
今回の調査は主にFacebook上でシェアされた「政治」に関するニュース記事を対象としています。
Facebookの統計データへのアクセスは、ハーバード大学を拠点とする学術団体「Social Science One」により許可されました。
このデータは、FacebookやInstagramなどのSNSプラットフォームを運営する米国の企業「Meta(メタ)」と共同で収集されているもので、ユーザーの人口統計や利用状況が含まれています。
また、ここで主に収集されているデータの一つが「政治ページ親和性スコア(political page affinity score)」と呼ばれるものです。
これはFacebookユーザーが政治に関するニュース記事にどの程度の関心や親和性を持っているかを数値化した指標を指します。
具体的には、ユーザーがフォローしているメディアや政治家のアカウント、「いいね!」やシェアをした政治ニュースの内容などを通して、個々のユーザーがどのような政治的信念や支持政党を持っているかを評価するものです。
チームは今回、このスコアを使って、ユーザーの政治的姿勢を5つのグループ(極左・左翼・中立・右翼・極右)に分類しました。
これと別にチームはAIの機械学習機能を使って、ユーザーによってシェアされた政治ニュースの内容に含まれる主張や用語を分析し、これも同じように5つのグループ(極左・左翼・中立・右翼・極右)のどの考えに一致するかを分類しています。
そして最後にチームは2017年から2020年の間にFacebook上でシェアされた3500万件以上の政治ニュース記事を対象に、それぞれのユーザーがどのような内容の記事をシェアしたのか、また記事リンクをクリックして中身を読んだのか、それともリンクを押さずにシェアしたのかなどを調べました。
その結果、研究者たちも驚いたことに、Facebook上でシェアされた3500万件以上のニュース記事のうち、実に75%はユーザーによってクリックされることなくシェアされていたことが判明したのです。
これはつまり、ユーザーの多くがニュース記事のタイトルだけを読み、肝心の中身には目を通すことなく、記事をシェアするか否かを判断していることを意味します。
さらにチームは、ユーザーの政治的姿勢と関連する興味深い法則を発見しました。