常識を覆す大規模調査の衝撃 夫婦でいるほど認知症?

結婚は昔から「心身の健康や長寿に寄与する」と考えられてきました。
実際、過去の多くの研究で、結婚した人は心臓病のリスクが低かったり、独身の人より長生きする傾向があると報告されています。
配偶者から得られる精神的・社会的な支援や経済的安定といった利点が健康増進につながるとする「婚姻資源モデル」という考え方もあります。
こうしたことから、結婚は認知症の予防にも役立つのではないかと期待されてきました。
しかし、結婚と認知症リスクの関係についてのこれまでの研究結果は必ずしも一致していません。
ある研究では「結婚していない人の方が認知症リスクが高い」という傾向が示唆されましたが、他の研究では差がないと報告されています。
離婚や死別に関しても、既婚者よりリスクが高いという報告がある一方で、離婚によって幸福度が増し認知機能低下の防止につながる可能性を指摘する声もあります。
実際、離婚経験者のほうが結婚を続けている人より認知機能の低下が遅いというデータも報告されています。
このように見解が分かれており、結婚歴と認知症リスクの関係はまだはっきりしていません。
また、近年は生涯未婚や離婚、死別などで「結婚していない」高齢者が増えているため、彼らが本当に認知症になりやすいのかどうかを改めて検証することが社会的にも重要です。
そこでアメリカ・フロリダ州立大学の研究チームは、「結婚歴の違いが高齢者の認知症発症リスクにどのように影響するか」を大規模データで詳しく調査しました。