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バッテリーもモーターもない世界最小の無線飛行ロボット / Credit:Adam Lau(UCB)_UC Berkeley engineers create world’s smallest wireless flying robot(2025)
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【バッテリー無しでもなぜか飛ぶ】世界最小の無線飛行ロボットが誕生!

2025.04.02 07:00:00 Wednesday

もし、あなたの指の先に乗るほど小さなロボットが、自由自在に空を飛び回れるとしたらどう思いますか?

しかも、そのロボットには電池もモーターもついていないのに、空中でピタリと止まったり、くるりと向きを変えたり、壁にぶつかってもすぐに立ち直ったりするのです。

この不思議なロボットを開発したのは、アメリカ・カリフォルニア大学バークレー校(UCB)の研究者たちです。

彼らが作り上げたのは、翼の直径が9.4ミリ、重さはたったの21ミリグラムという「世界最小の無線飛行ロボット」です。

研究の詳細は、2025年3月28日付の科学誌『Science Advances』にも掲載されました。

Record-breaking tiny robot offloads electronics to fly by magnetism https://newatlas.com/robotics/worlds-smallest-untethered-flying-robot-magnetic-field/ UC Berkeley engineers create world’s smallest wireless flying robot https://news.berkeley.edu/2025/03/28/uc-berkeley-engineers-create-worlds-smallest-wireless-flying-robot/
Untethered subcentimeter flying robots https://doi.org/10.1126/sciadv.ads6858

極小ロボットの飛行を可能にしたのは「磁場」だった

極端に小さいものを空中に浮かせることは簡単ではありません。

なぜなら、空気抵抗に対して極めて敏感になり、ちょっとした揺れや風でもすぐに不安定になってしまうからです。

また、従来のドローンにはバッテリーやモーター、制御回路といった装置が必要でしたが、それを数十ミリのサイズに詰め込むのはほぼ不可能だからです

しかし、UCバークレーの研究者たちはこの難題を見事にクリアしました。

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直径1cm未満の飛行ロボット / Credit:Adam Lau(UCB)_UC Berkeley engineers create world’s smallest wireless flying robot(2025)

彼らが開発したこの直径1cm未満のロボットは、バッテリーもモーターも搭載していないにもかかわらず、安定して空を飛ぶことができます。

その秘密を理解するために、中学校の理科の授業で使う棒磁石を思い出してください。

磁石の近くにクリップを置くと、何もしなくてもスッとくっつきますよね。

この「見えないけれど力を持った空間」が磁場です。

今回のロボットは、まさにこの磁場の力を使って飛んでいるのです。

外からかけられた交流磁場と、ロボット内部に仕込まれた小さな永久磁石との相互作用によって、トルク(回転力)が発生します。

それによって、ロボットの回転翼がくるくると回り、空気を押し下げる力――つまり揚力が生まれ、機体が空中に持ち上がるのです。

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磁場で空を飛ぶ極小ロボット / Credit:Liwei Lin(UCB)et al., Science Advances(2025)

まるで見えない“磁場の手”がロボットを支えているかのようです。

さらに、このロボットには「バランスリング」と呼ばれる構造が加えられています。

これにより、回転によって生じるジャイロ効果、つまり回ることで姿勢を安定させる力が発生。揺れや傾きを自動で補正することができます。

コマを勢いよく回すとまっすぐ立ち続けるのと同じ原理ですね。

子和得て、この新しい小型ロボットには、自然界の知恵も収められています。

次ページマルハナバチの知恵が込められた「世界最小の無線飛行ロボット」

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