糖尿病リスクと「人と接する職業」の関係を調査
2型糖尿病とは、膵臓からのインスリン分泌が不足したり、インスリンが効きにくくなること(インスリン抵抗性)によって血糖値が慢性的に高くなる疾患です。
進行すると視力障害、腎不全、心血管疾患などを引き起こし、生活の質を大きく低下させるため、早期の治療が重要とされています。
従来、2型糖尿病のリスク因子としては、肥満、運動不足、喫煙、飲酒、遺伝的背景などが知られてきました。
しかし、ここに「職場でのストレス」や「社会的環境」といった心理社会的因子が関与している可能性があるとして、近年注目を集めています。

今回の研究では、「人と接する仕事」が持つ独特のストレスが、糖尿病リスクにどう影響するかを検証しました。
このタイプの仕事には、医療、教育、福祉、接客業、運輸業などが含まれます。
患者や顧客、利用者、学生との継続的なコミュニケーションが必要であり、感情のコントロール、衝突への対応が求められるストレスのかかる職業です。
研究チームは、スウェーデンの「Work, Illness and Labour-market Participation(SWIP)コホート」から、2005年時点で30〜60歳だった就業者295万人(非糖尿病患者)を対象に調査を行いました。
そして2006年から2020年までの14年間にわたり、対象者が糖尿病を発症したかどうかを医療・薬剤・死亡の各種国の登録データから追跡しました。
職種ごとの「人との接触頻度」「感情的負担」「他者との対立の頻度」といった要素は、過去のスウェーデン職場環境調査(1997〜2013年)の回答をもとに作成した「職業曝露マトリクス(JEM)」を用いて評価しました。
また、職場での社会的支援(同僚や上司からのサポート)も同様に評価されました。