「人と接する仕事」に就く人は糖尿病になりやすかった

14年間の追跡の結果、追跡期間中に21万6,640人が2型糖尿病を発症し、そのうち約60%が男性だと分かりました。
そして統計分析により、人と接する仕事の3つの要素「人との接触」「感情的負担」「対立」のレベルが高い職業に就く人ほど、2型糖尿病のリスクが高いと分かりました。
具体的には次のとおりです。
まず、感情的負担が大きい仕事に就いていた男性は糖尿病リスクが20%増加、女性では24%増加します。
そこに、「顧客や患者との対立・衝突が多い」という要素が加わると、糖尿病リスクはさらに男性で15%増加、女性で20%増加していました。
特に女性で「感情的負担が大きく、職場の社会的支援が低い」場合には、そうでない女性にくらべて、糖尿病リスクが最大47%も高まることがわかりました。

なぜこのような結果になるのでしょうか?
研究チームは、糖尿病リスクの増加の鍵は「慢性的ストレス」に対する「生理的反応」にあると考えています。
人と接する職場では、しばしば「本音と建前」の間で感情をコントロールしなければならず、それが持続的なストレスとなって蓄積します。
このストレスは、神経内分泌系に影響を及ぼし、コルチゾールというストレスホルモンを過剰に分泌させます。
コルチゾールの増加は、インスリンの効きにくさ(インスリン抵抗性)を引き起こし、さらには血糖値を上げる方向に働きます。
加えて、慢性的ストレスは炎症性サイトカインの活性化を通じて、インスリンの働きを阻害することも分かっています。
つまり、感情労働と対人ストレスの蓄積は、身体の代謝バランスを崩す要因となるのです。
研究者たちは今後、より詳細な生理学的メカニズムの解明や、労働環境の改善による予防策の開発が重要だと指摘しています。
人と接する仕事は社会にとって不可欠で、これからもなくなることはありません。
だからこそ、働く人々の健康を守る環境づくりがますます重要になってくるのです。
ストレス強力すぎ…。
─2型糖尿病は、生活習慣病として知られ、世界的にも患者数が増え続けている深刻な病です。─記事冒頭
今、厚生労働省でさえ、糖尿病を生活習慣病とはしていません。自分は比較的生活習慣に気をつけている、と思っている人が健康診断を怠り、自覚症状のないまま糖尿病を悪化させている事実があります。
いくら民間のニュースメディアだとは言え、ステレオタイプにこういった無責任なこと書くのは慎むべきですね。
しかし、ストレスを感じる強度は、絶対的な尺度ではなく相対的なものですから、「接触のレベルの高職場」とそうではない生活環境を分けることに、有意性があるとは思えませんね。
糖尿病は遺伝性による原因が大きいですから、「接触のレベルの高い職場」を望む“性格“の人に、糖尿病質を持った“体質“の人が多い、という接点ならひょっとしたらあるかもしれませんがね(笑)。