砂漠の微生物「クロコッキディオプシス」とは?
クロコッキディオプシス、長い名前なので、ここでは簡単に通称「クロ」としましょう。
クロは地球の砂漠や極地といった過酷な環境に生息する藍藻(シアノバクテリア)の一種です。
その最大の特徴は、乾燥や強い紫外線、放射線など、ほとんどの生物が生きていけない極限状況でも、しぶとく生き延びる“サバイバル力”にあります。
たとえば、南極やアジア、アメリカなど世界中の砂漠で発見されているクロは、ほとんど水のない状態で長期間にわたり“仮死状態”となり、条件が良くなると再び蘇ります。

さらに岩の割れ目や石の下など、紫外線が届きにくいミニシェルターの中でコロニーを作って生きる知恵も持っています。
クロの生存能力は科学者たちにとっても驚きの連続です。
たとえば、地上の実験室では、人間ならとても耐えられない24,000グレイ(人間の致死量の2,400倍)という超高線量のガンマ線を浴びても生存。
マイナス80度という極寒や、塩分を含む氷の中でも眠るようにして生き延びることができます。
この「とことんタフな生物」の正体こそ、宇宙や火星のような未知の環境で“生命が生き延びられるかどうか”を知るための重要なモデル生物となった理由です。