超加工食品が男性に引き起こす「3つの害悪」

今回の臨床試験は、20~35歳の健康な男性43人を対象に、3週間ずつ「超加工食品中心」と「未加工食品中心」の食事を体験してもらうというものです。
どちらの食事もカロリー・栄養素は同じですが、“加工度”だけを変えています。
この研究で明らかになった害悪は、次の3つです。
1. 体重と体脂肪が増える
カロリーや栄養バランスが同じでも、超加工食品を食べたグループは、未加工食品グループに比べて「約1.4kg」体重が増加しました。増えたのは“筋肉”ではなく“体脂肪”で、脂肪量が1kg近く増えていました。
これは「脂質代謝を乱す作用」が食品の加工過程で生まれる可能性を示しており、超加工食品が肥満や生活習慣病のリスクを高める理由の一つといえます。
2.有害物質の蓄積による「ホルモンバランスの乱れ」
また、加工食品特有の「有害化学物質(内分泌撹乱物質)」が体内に蓄積されます。特に、プラスチック製品に含まれる「フタル酸エステル類(cxMINP)」が血清中で増加傾向を示しました。
これらの物質は、食品の包装や加工過程で食べ物に混入し、ホルモンバランスや代謝に悪影響を及ぼすことが懸念されています。
実際に実験では、超加工食品を摂取した男性グループのホルモンバランスが乱れていることが確認されました。
3.精子運動率の低下
3つ目の害悪は、「生殖機能」への影響です。
超加工食品中心の食事をとったグループでは、男性ホルモン(テストステロン)と精子を作るのに重要な卵胞刺激ホルモン(FSH)が減少し、精子の運動性(泳ぐ力)も低下していました。
特に「精子の全運動率」が有意に下がったことは、将来的な男性不妊のリスクが高まることを示唆しています。
世界的に精子の質が低下している背景には、こうした食生活の変化もあるかもしれません。