「発酵性食物繊維」とは?
昔から「腸は健康の源」と言われてきましたが、近年では科学的にも、腸内細菌が免疫や代謝、さらには脳や皮膚の健康にまで関わることが次々と明らかになっています。
特に注目されているのが、腸内細菌が食物繊維を分解して生み出す“短鎖脂肪酸”という物質です。
短鎖脂肪酸は、腸内を弱酸性に保ち、悪玉菌の増殖を抑えたり、腸のバリア機能や蠕動運動(ぜんどううんどう:便を押し出す動き)を促したりするなど、腸そのものの健康に役立つことがわかっています。
さらに近年は、短鎖脂肪酸が血流に乗って全身に運ばれ、脳の働きや皮膚の状態にも影響を及ぼすという「腸–脳–皮膚軸」の考え方も提唱されており、「腸を整える=全身が整う」時代に入りつつあります。
こうした健康効果の鍵となるのが、発酵性食物繊維です。
発酵性食物繊維は、腸内細菌(特に善玉菌)がエサにしやすく、腸内で発酵・分解されることで短鎖脂肪酸を生み出します。
発酵性食物繊維は「水溶性食物繊維」や「難消化性でん粉(レジスタントスターチ)」などに多く含まれます。
善玉菌の種類や活動部位によって、発酵速度や効く場所が異なるため、いろいろな種類を組み合わせて摂ることが理想的です。
具体的な食品リスト
発酵性食物繊維は、私たちの身近な食品に多く含まれています。
例えば――
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穀類:大麦、オーツ麦(オートミール)、小麦全粒粉、玄米
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野菜・果物:バナナ、キウイ、玉ねぎ、ごぼう、らっきょう、とうもろこし、アボカド
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豆類:大豆、小豆
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海藻類:わかめ、昆布、ひじき
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いも類:さつまいも、長いも
さらに、これらの食品には以下のような発酵性食物繊維成分が含まれています。
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大麦、オーツ麦:β-グルカン
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小麦全粒粉:アラビノキシラン
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キウイ、柑橘類:ペクチン
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バナナ、玉ねぎ、豆類:難消化性オリゴ糖
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ごぼう、らっきょう:イヌリン
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海藻類:アルギン酸
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さつまいも、長いも:レジスタントスターチ
これらの食品を日常の食事に意識的に取り入れることで、腸内細菌のバランスを整え、全身の健康維持に寄与することが期待できます。