「美肌」「快便」「快眠」が促される
今回の臨床試験は、20〜50歳の健康な成人105人を対象に行われました。
試験は、発酵性食物繊維の摂取量が異なる2グループ(低摂取:2.2g/日、高摂取:8.2g/日)で比較。
介入期間は4週間。
腸内細菌叢、便通、睡眠、肌の状態など多角的に評価されました。
主な研究結果
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便通とQOLの改善
摂取2週間後、低摂取・高摂取いずれのグループでも、便通や排便関連QOL(生活の質)が有意に改善。4週間で排便日数も増加しました。 -
肌の透明感の向上
低摂取グループでは2週間後に肌の透明感が「改善した」と感じる人が増加。高摂取グループでは2・4週間ともに有意な改善が認められました。 -
腸内細菌の“善玉菌”が増加
ビフィズス菌を筆頭に、短鎖脂肪酸を産生する有用菌が増加。他種の善玉菌との相乗効果も確認されました。 -
睡眠や肌との関連性も明らかに
増加した有用菌の占有率が高い人ほど、「起床時の眠気が少ない」「夜中に目覚めず眠れる」「疲労回復が良い」など、睡眠の質に関する指標も良好でした。
また、「シミ」「吹き出物」「鼻の周りの皮脂」など肌の悩みに関する指標とも有意な相関がありました。 -
摂取量と効果の違い
もともと食物繊維の摂取量が少ない人では、少しの追加摂取でも大きな効果がみられました。一方、もともと多く摂取していた人がさらに追加摂取(平均25g/日)した場合、腸内細菌叢の改善に加えて睡眠時間の延長も観察されました。
どれくらい食べればよいのか?
厚生労働省が定める食物繊維の目標摂取量は男性22g、女性18g/日です。
研究では、これらの目標量の80%以上(男性17.6g、女性14.4g)を摂れている人がより高い効果を示していました。
今回の研究で、「発酵性食物繊維」を多く含む食品グループを日常的に摂取することで、単なる「快便」だけでなく、「美肌」や「快眠」といった全身の健康効果も期待できることが示されました。
現代の食生活ではどうしても不足しがちな発酵性食物繊維ですが、オートミールや玄米、豆類や野菜、海藻、いも類などを意識して取り入れるだけで、腸内環境はもちろん、睡眠や肌のコンディションまで大きく変わるかもしれません。