画像
グラフェン強化プラスチックが誕生。※イメージ / Credit:Canva
science

「強度20%向上、18%軽量化」の”グラフェン強化”プラスチックを開発

2025.11.20 20:00:16 Thursday

「強さも軽さも、あきらめなくていい」

そんなかつてない素材が登場しました。

トロント大学(University of Toronto)と自動車部品メーカー Axiom Group Inc. は、共同で新しいグラフェン強化プラスチック「Gratek(グラテック)」を開発。

従来のガラス繊維強化ポリプロピレン(glass‑filled polypropylene)に比べて強度を約20%高め、重さを約18%軽くすることに成功しました。

この成果はカナダの研究支援機関Mitacs(ミタックス)主催の2025 Mitacs Innovation Award(イノベーション賞)も受賞し、大きな注目を集めています。

Graphene-boosted plastic makes auto parts 20% stronger, 18% lighter https://newatlas.com/materials/gratek-graphene-automobile-plastic/ Axiom’s Commitment to Innovation in Manufacturing: Meet AX Gratek PP40 https://www.axiomplastics.com/axioms-commitment-to-innovation-in-manufacturing-meet-ax-gratek-pp40/

グラフェン入りプラスチックが強度と軽さをパワーアップ

自動車産業では、部品を「軽く、強く」することが重要な課題です。

これまではガラス繊維強化ポリプロピレン(GF‑PP)という素材が広く使われてきました。

これはポリプロピレン(PP)というプラスチックにたくさんのガラス繊維を混ぜて強度を上げたものです。

とはいえ、さらに軽く・強くしたいというニーズには応えきれなくなっており、新しい素材への期待は大きくなってきました。

この期待に応えるため、トロント大学の研究チームは、Axiom Groupと共同で研究を行い、GF‑PPにごく少量(全体の1%未満)のグラフェン(graphene)を加える方法に挑戦しました。

その結果生まれたのがGratek(グラテック)です。

Gratekは従来のGF‑PPに比べて、引っ張られる強さ(引張強度)が約20%アップ、重さが約18%軽くなるという、これまでにない性能を持っています。

さらにガラス繊維の使用量を減らせるため、部品の加工で使うドリルや刃物の傷みも抑えられるメリットも確認されました。

こうした実用的な成果が評価され、研究チームはカナダのMitacs Innovation Awardを受賞しました。

では、この新素材Gratekはどのようにして開発されたのでしょうか。

次ページなぜGratekの性能は高いのか?グラフェンを組み込む工夫とは?

<

1

2

>

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

スマホ用品

サイエンスのニュースscience news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!