プレゼンの時に出がちな「えーっと」や「あのー」が聞き手の記憶力を高める
プレゼンの時に出がちな「えーっと」や「あのー」が聞き手の記憶力を高める / Credit: Unsplash
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プレゼンの時に出がちな「えーっと」や「あのー」は聞き手の記憶力を高める

2026.01.18 21:00:32 Sunday

誰かと話しているやプレゼンをしているとき、「えーっと」や「あのー」といった言葉がつい出てしまうことはありませんか。

これらの「言い淀み」は、一般的には話し方がスムーズでないマイナスの印象を与えがちです。

しかし、米国ヴァンダービルト大学(Vanderbilt University)のエフゲニア・ディアチェク(Evgeniia Diachek)氏らの研究によると、こうした言い淀みは聞き手の記憶を助ける重要な役割を果たしているようです。

研究チームは、「えーっと」や会話の途中で生じる沈黙、単語の「繰り返し」という3種類の言い淀みが記憶にどう影響するかを実験しました。

分析の結果、言い淀みがない場合と比べて、言い淀みの直後に続く言葉は聞き手の記憶に残りやすくなることが判明したのです。

どうやら私たちは、話の中に言い淀みが挟まると、「次に重要な情報が来る」と注意を向ける傾向があるようです。

この研究の詳細は、2022年7月21日に学術誌「Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition」に掲載されています。

The effect of disfluency on memory for what was said https://doi.org/10.1037/xlm0001156

言い淀みが注意のスイッチを入れる

あなたは今、重要なプレゼンテーションや会議に参加しているとします。

もし話し手が、 「えーっと、、本日の、あのー、議題は、ええ、先月の売り上げに関してです」 といった具合に、言葉を詰まらせてばかりいたら、どのような印象を抱くでしょうか。

おそらく多くの人は、話し手の「準備不足」や「自信のなさ」といったネガティブな印象を抱くでしょう。

実際、過去の研究では、言い淀みが多い話し手は採用面接での評価が下がったり、教育場面では教員としての指導力が低いと見なされたりする社会的なデメリットがあることが報告されています 。

しかし近年、この「厄介者」として扱われてきた言い淀みについてプラスの効果が見られるとの報告がありました。

その研究は、ヴァンダービルト大学のエフゲニア・ディアチェク(Evgeniia Diachek)氏らの研究です。

ディアチェク氏らは、言い淀みの種類(「えーっと」や会話の途中で生じる沈黙、単語の「繰り返し」 )によって記憶にどのような影響を与えるのかについて4つの実験を行いました。

実験1と2では、合計200名以上の参加者を対象に、文章の最後に「言い淀み」を入れた音声を聞かせ、その後の記憶テストで単語を覚えているかを調べています。

用意されたのは、「姉がスキーで事故に遭って、(えーっと)足を骨折した」といった文章です。

結果、言い淀みがなかった場合と比較して、言い淀みがあった場合には直後の単語(今回の例であれば足)を正しく思い出す確率が約1.45倍も高くなることが分かりました。

実験1の結果の図を改変。言い淀みがない場合よりも言い淀みがあった場合の方が直後の単語の記憶率が高い。
実験1の結果の図を改変。言い淀みがない場合よりも言い淀みがあった場合の方が直後の単語の記憶率が高い。 / Credit: Diachek, & Brown-Schmidt. (2023)

具体的には、言い淀みがない場合の正解率が約56%だったのに対し、言い淀みがある場合は最大で約64%にまで上昇していたのです。

また興味深いことに、「えーっと」のようなフィラーだけでなく、ただの「言葉の繰り返し」や「沈黙」でも、同様の記憶が促進される効果が見られました

次ページ効果は短く、タイミングが重要

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