生後6か月の段階で大きな差がうまれていた

「生まれ順で差が出る」と簡単に言いますが、実際にはかなりややこしい問題です。
もし第1子と第2子を適当にたくさん集めて比較してしまったら、「本当に生まれ順のせいなのか、それとも単に育った環境や家庭の影響のせいなのか」が分からなくなってしまいます。
家庭ごとに収入や教育方針、親の性格まで違うのですから、単純に比べるだけでは差の原因は掴めないですよね。
そこで研究チームは、この問題にひと工夫をしました。
それは、比較の対象を「同じ母親から生まれた第1子と第2子のきょうだいペアだけ」に絞り込んだことです。
つまり、別々の家で育った赤ちゃん同士を比べるのではなく、「同じ親から遺伝的背景を多く共有し、育つ家庭環境も似ているきょうだい同士」で比べたということです。
こうすれば、家庭ごとの収入や教育方針といった要素はほとんど同じになります。
そうなると、「生まれ順」そのものが、赤ちゃんの発達にどれくらい影響を与えているのかをはっきり確かめやすくなるのです。
研究チームが赤ちゃんの発達を評価した方法は、「ASQ-3」という親が赤ちゃんの日常的な動きを観察して答えるタイプの質問票です。
親たちは、
「赤ちゃんが親とことばや表情でやり取りできるか」
「身体を元気に動かせるか」
「指先を器用に使えるか」
「目の前の問題に反応して工夫できるか」
「他の人と上手く関われるか」
という5つの項目について60点満点で評価しました。

その結果、生後6か月というかなり早い段階で、すべての項目で第2子が第1子より低い傾向が見られました。
特に差が目立ったのが、人との関わりをみる社会性に関する項目です。
この項目では、第2子は第1子より約14点も低かったのです。
この結果は、「きょうだい差なんて、幼稚園や学校で他の子どもと交流するようになってから表れるものだろう」と考えていた多くの人たちを驚かせるかもしれません。
実は、生まれてたった半年という、「赤ちゃんがやっと笑ったり、目で親を追いかけたりするくらいの段階」で、すでに明確な差が現れていたのです。
そしてこの研究では、親の子どもに対する関わりの差にも注目しています。
研究チームは、親が赤ちゃんにどれくらい直接関わったか(遊んだり、本を読んだり、一緒に出かけたりする)を点数にして比較しました。
その結果、第2子では親の関わりの得点が第1子に比べて約0.77点(18点満点)低くなっていました。
研究者たちは、この親の関わりの差が、第2子の発達がやや遅れがちになる理由ではないか、と考えています。
子どもが一人しかいないときは親の注意や時間が集中しますが、子どもが2人以上になると、どうしてもそれが分散してしまいます。
親が赤ちゃん一人ひとりにかけられる時間が薄まりやすくなることが、赤ちゃんの発達にも影響を及ぼす可能性があるのです。
ただし、この話は「第2子がずっと不利」というわけではありません。
実際、生後12か月になると、一部の項目では第1子との差が縮まりました。
具体的には、微細な手の動きや社会性に関する項目だけが差として残り、それ以外はあまり差が見えなくなったのです。
研究者たちはその理由について、一部は「下の子が上のきょうだいと遊んだり、その真似をしているうちに刺激を受け、発達が促されているのかもしれない」と考えています。
親の注意が少し薄まる一方で、家の中にいる「少し上の年齢の子」という刺激が、赤ちゃんの成長を後押しする可能性もあるわけです。
また、この研究の着想は意外なところから来ています。
研究をリードした富山大学の土田暁子さんは、ニュースで「サッカー日本代表には第1子が意外に少なく、第2子以降が多い」という記事を読んだことが、この研究を始めるきっかけになったと話しています。
そこから、「なぜ同じ遺伝的背景を共有するきょうだいなのに、生まれ順だけで差が出るのだろう?」という素朴な疑問が浮かび、この興味深い研究へとつながったのです。




























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