飲んだ後は溶けて消える紙の電池を開発、胃の中で機器を動かす
飲んだ後は溶けて消える紙の電池を開発、胃の中で機器を動かす / Photo by padrinan on Pixabay
artificial-intelligence

飲んだ後は溶けて消える紙の電池を開発、胃の中で機器を動かす

2026.09.24 19:20:00 Thursday

電池を飲み込む、と聞くと、少しぎょっとするかもしれません。

米マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームが、飲み込んで使える「紙の電池」を作りました。

お腹の中の医療機器に電気を送り、役目を終えると胃腸の中で少しずつ分解されていく電池です。

ブタを使った実験では、この電池が胃腸の中で医療機器を最長3日動かしました。

動かしたのは、ブタが薬を飲み込んだことを無線で知らせる札(RFIDタグ)と、胃を電気で刺激するカプセルです。

実際のRFIDタグの画像はこちら(画像1)。

飲み込むタイプの医療機器には、出血を見つけるもの、薬を出すもの、臓器を電気で刺激するものなどがあります。

ただ、こうした機器を動かす電源をどうするかは、大きな課題になっています。

今回の電池は、その課題に「最後は分解されてなくなる」という形で答えようとしたものです。

ただし、試されたのはまだブタだけです。

人の体でも安全に、きちんと働くかどうかは、これから確かめる段階にあります。

研究内容の詳細は2026年9月21日に『Nature Chemical Engineering』にて発表されました。

Scientists made a paper battery you can swallow to power internal medical devices (Live Science) https://www.livescience.com/health/scientists-made-a-paper-battery-you-can-swallow-to-power-internal-medical-devices MIT News (MIT News) https://news.mit.edu/2026/batteries-safely-break-down-in-gi-tract-could-improve-ingestible-devices-0921
Bioresorbable batteries for transient ingestible bioelectronics https://doi.org/10.1038/s44286-026-00443-7

解説動画はこちら

なぜ「分解されて消える電池」が必要なのか

なぜ「分解されて消える電池」が必要なのか
なぜ「分解されて消える電池」が必要なのか / ※画像はイメージです。Credit: Generated by Codex (gpt-image), ナゾロジー編集部

MITのジョバンニ・トラベルソ教授らは、これまでにも体の中で働くカプセルを数多く作ってきました。

体の状態(バイタルサイン)を見守るもの、薬を届けるもの、オピオイドという薬の過剰摂取を見つけるものなどです。

電源が要る機器には、外から無線で電気を送ったり、胃腸の中で電気を取り出したり、小さなボタン電池を積んだりしてきました。

ボタン電池の中には、リチウムや酸化銀などの金属が入っています。

電池を守る膜に、胃腸を通る途中で傷が付けば、内蔵を傷つける危険につながります。

そのためふつうの電池は、中身が周りの組織に漏れ出さないよう、しっかり密封しておく必要があります。

しかも、電池はかさばります。

研究に加わっていないメリーランド大学のレザ・ゴドシ教授は「電池は飲み込む機器の中で、いちばん場所を取る部品だ」と話しています。

機器が要らなくなった後、ふつうの電池を体から取り出すために手術が必要になる場合もあります。

飲み込んだ後に体の中で分解される電池なら、こうした悩みを小さくできる可能性があります。

そこで研究チームは、少量なら人が口にしても比較的安全とされるマグネシウムと三酸化モリブデンに目をつけました。

では、この材料と「紙」から、どうやって電気を生み出し、分解されるタイミングまで決めているのでしょうか?

次ページ紙の電池はどうやって電気を生み、分解される時期を決めるのか

<

1

2

3

4

>

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

AI・人工知能のニュースartificial-intelligence news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!