「知能が高い人」ほど見落としが少ないわけではなかった
「知能が高い人」ほど見落としが少ないわけではなかった / Photo by Kamil Čičila on Pexels
psychology

「知能が高い人」ほど見落としが少ないわけではなかった

2026.09.26 18:30:00 Saturday

駅でスマホの乗り換え案内をにらんでいたら、目の前で手を振る友人に最後まで気づけませんでした。

何かに集中していると、目に入っているはずのものを見落とすことがあります。

では、頭のいい人や注意深い性格の人なら、こうした見落としは少ないのでしょうか?

イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校のダニエル・シモンズ氏らは、知能を調べる実験と性格を調べる実験に、それぞれ1000人ずつ参加してもらい、この疑問を確かめました。

その結果、知能に関わる一部の能力は見落としを予測したものの、その力は弱く、一貫してもいませんでした。性格については、見落としを予測するという証拠がほとんど、あるいはまったく見つかりませんでした。

「賢い人ほど見落とさない」という直感は、今回の実験ではほとんど支持されなかったことになります。

ただし調べたのは、オンラインで画面上の課題に取り組む中での見落としです。

日常のあらゆる場面に同じことが当てはまるかは、まだ分かりません。

研究内容の詳細は2026年6月3日に『Royal Society Open Science』にて発表されました。

Intelligence and personality traits do not predict inattentional blindness (PsyPost) https://www.psypost.org/intelligence-and-personality-traits-do-not-predict-inattentional-blindness/
Do individual differences in cognitive ability or personality predict noticing in inattentional blindness tasks? https://doi.org/10.1098/rsos.260708

集中すると「見えているのに見えない」

集中すると「見えているのに見えない」
集中すると「見えているのに見えない」 / ※画像はイメージです。Credit: Generated by Codex (gpt-image), ナゾロジー編集部

集中しているときに、はっきり見えるはずのものに気づかない現象は「非注意性盲目」(注意がほかに向いているせいで、見えているものを見落とすこと)と呼ばれます。

たとえば、動画の中でボールのパスを数えている人は、画面を横切る見慣れない人影を見逃すことがあります。

これは、視力が悪いからとも、頭が悪いからとも限りません。

注意には限りがあり、脳はいま取り組んでいる作業に関わる情報を優先するためです。

それでも、いつも見落としにくい人がいるのかどうかは、これまでにも調べられてきました。

候補に挙がったのは、知能やワーキングメモリ(短い間、情報を頭にとどめて操作する力)、そして開放性や没入傾向(感覚や想像の体験に深く入り込みやすい傾向)といった性格の特徴です。

実際、自分から物を探したり注目したりする課題なら、こうした測定で成績を予測できます。

ところが、予想外のものに気づくかどうかになると、話が違いました。

シモンズ氏らが以前、これまでの研究をまとめて分析したところ、個人差で気づきを予測できるという証拠は比較的少なかったのです。

多くの研究は参加者が少なく、結果もばらばらでした。

そこでシモンズ氏らは今回、この種の個人差を調べた研究としては、これまでで最も大きな2つの実験を行いました。

では、知能や性格とは別に、「よく気づく人」というのはそもそもいるのでしょうか?

次ページそれでも「よく気づく人」はいるのか?

<

1

2

3

>

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

心理学のニュースpsychology news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!