「磁石を作る細菌」を食べた線虫は平均寿命が43%延びた
「磁石を作る細菌」を食べた線虫は平均寿命が43%延びた / ※画像はイメージです。Credit: Generated by Codex (gpt-image), ナゾロジー編集部
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「磁石を作る細菌」を食べた線虫は平均寿命が43%延びた

2026.09.27 10:00:00 Sunday

冷蔵庫の磁石にメモを留め、隣のヨーグルトを手に取る。細菌と磁石は、朝の台所の常連です。

今回紹介するのは、そんな身近な「磁石」を細胞の中に持つ、ちょっと変わった細菌の話です。

中国科学院合肥物質科学研究院のアン・シュー教授らの研究チームは、この細菌を線虫に食べさせると、平均寿命が43.39%延びたと報告しました。

日数でいえば、約17.2日だった平均寿命が約24.6日になった計算です。

しかも延びたのは、ただ生きている時間だけではありませんでした。

年を取ってからも神経の働きがよく、腸の状態も保たれ、元気に過ごせる期間まで長くなっていたのです。

老化は体の働きを少しずつ弱め、多くの慢性の病気にかかりやすくします。

その対策として、これまで薬や遺伝子を使う方法が探られてきました。

そこへ「細菌を食べさせる」という、まったく違う方向からの手が見えてきたわけです。

研究内容の詳細は2026年6月26日に『Free Radical Biology and Medicine』にて発表されました。

Scientists gave worms magnetic bacteria. They lived 43% longer (ScienceDaily) https://www.sciencedaily.com/releases/2026/09/260924020357.htm
A novel role for magnetotactic bacterium: Magnetospirillum magneticum AMB-1 prolonged healthy lifespan of Caenorhabditis elegans via regulating ferroptosis https://doi.org/10.1016/j.freeradbiomed.2026.06.050

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出どころの画像(Credit: ScienceDaily)

磁石の粒を持つ細菌を、線虫に食べさせた

磁石の粒を持つ細菌を、線虫に食べさせた
磁石の粒を持つ細菌を、線虫に食べさせた / ※画像はイメージです。Credit: Generated by Codex (gpt-image), ナゾロジー編集部

今回の主役は、走磁性細菌(細胞の中にナノサイズの磁石の粒を持つ細菌)と呼ばれる仲間です。

走磁性細菌の細胞の中には、マグネトソーム(磁石の性質をもつ鉄の結晶を膜で包んだ小さな粒)と呼ばれるつくりが並んでいます。

走磁性細菌は体になじみやすい性質を示しており、薬を運ぶ役目やがん治療への応用がこれまで研究されてきました。

ところが、細菌そのものを実際に役立てる研究はまだ限られていて、老化との関係はあまり調べられていませんでした。

そこで研究チームが選んだのが、マグネトスピリルム・マグネティクムという種の「AMB-1」という株です。

AMB-1は鉄を材料に鉱物の粒をつくる力を持ち、酸化を防ぐ働き(抗酸化作用)もあるかもしれないと見られていました。

これを食べさせた相手は、線虫の一種シー・エレガンス(C. elegans)です。

老化の研究で広く使われている、いわば研究の定番の生き物です。

研究チームは、AMB-1を与えた線虫と、比べる相手としてOP50(線虫の飼育でふつうのえさにする大腸菌)を与えた線虫を用意しました。

以前ナゾロジーではこういう記事も紹介しています(線虫の寿命を500%延長させることに成功「人間の400歳分」)

そして寿命や神経の働き、腸の状態を比べたところ、冒頭の結果が得られたのです。

では、細菌を食べただけで、なぜ線虫はこれほど長生きしたのでしょうか。

研究チームは、走磁性細菌ならではの特徴に目を向けました。

次ページ寿命を延ばしたのは、細菌のどんな力だったのか?

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