「レアアース」で作った「世界一正確な時計」
「レアアース」で作った「世界一正確な時計」 / ※画像はイメージです。Credit: Generated by Codex (gpt-image), ナゾロジー編集部
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「レアアース」で作った「世界一正確な時計」

2026.10.01 10:30:00 Thursday

朝、目覚まし時計と腕時計の針がわずかに食い違っていたので、とりあえず早いほうを信じて家を飛び出しました。

私たちの暮らしは、「1秒」という単位を当たり前のようにあてにして回っています。

その1秒を決めているのが、原子の振る舞いを目印にする「原子時計」です。

シンガポール国立大学(NUS)量子技術センター(CQT)の研究チームは、ルテチウムという元素で原子時計を2台作り、その正確さを確かめました。

では、この新しい時計はどこまで正確だったのでしょうか。

研究内容の詳細は2026年9月23日に『Nature』にて発表されました。

Scientists Just Built the World’s Most Accurate Clock (SciTechDaily) https://scitechdaily.com/scientists-just-built-the-worlds-most-accurate-clock/
Lu+ optical frequency references with accuracy verified at the 19th digit https://doi.org/10.1038/s41586-026-11072-8

時計の「振り子」を原子に任せる

時計の「振り子」を原子に任せる
時計の「振り子」を原子に任せる / ※画像はイメージです。Credit: Generated by Codex (gpt-image), ナゾロジー編集部

原子時計は、原子の中の電子がエネルギーの段を乗り換えるときの決まった周波数を目印にして、時を刻みます。

この「時計遷移」にレーザーをぴたりと合わせ、その光の振動を振り子の揺れのように数えていくのです。

1960年代から秒の定義を担ってきたのはセシウムです。セシウム原子時計は、GPSや通信、交通網の同期を支えています。

一方、光を使う「光原子時計」は、はるかに高い周波数の遷移を使うため、同じ時間に数えられる振動がずっと多くなります。

目盛りの細かい物差しほど細かく測れるように、そのぶん時間を正確に測れるのです。

近年の記録は、イッテルビウムやストロンチウム、アルミニウムを使った時計が持っていました。

ただし原子時計の目印は、温度の変化や磁場によってわずかにずれてしまいます。

そこで研究チームが10年以上前から目をつけていたのが、ルテチウムです。

ルテチウムの時計遷移は、温度にも磁場にもほとんど影響されません。

チームを率いるマレー・バレット氏は「地球上で最も暑いデスバレーから南極高原の最も寒い場所へ移しても、ルテチウム時計は安定しているでしょう」と語ります。

研究チームは、電気を帯びたルテチウム176のイオンをたった1個だけ使い、それに波長848ナノメートルのレーザーを合わせて時計にしました。

さらに「超微細平均化」という方法を自ら考え出し、外からの磁場などの影響をほぼ打ち消せるようにしています。

とはいえ、ここまで正確な時計を同じ種類の時計同士で比べて確かめることは、これまで大きな課題として残っていました。

次ページ2台の時計を突き合わせたら、どこまで一致したのか?

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