ほぼ全身の化石から見えてきた「水辺の暮らし」

今回報告されたのは、「真三錐歯類(しんさんすいしるい)」と呼ばれる、恐竜の時代にいた哺乳類のグループの一員です。
化石はほぼ全身の骨がそろっており、体のつくりをくわしく調べられました。
まず目を引くのは、その手足です。
手と足はカモノハシに似ていて、カモノハシと同じように水かき(指の間の膜)があったと見られています。
さらに尾の骨は、上下からつぶしたように平たい、変わった形をしていました。
この尾の骨の形は、南アメリカ原産のネズミの仲間「ヌートリア」によく似ています。
こうした特徴から、この哺乳類は水辺で陸と水の両方を行き来する「半水生」の暮らしに適応していたと考えられます。
耳のつくりにも、進化の手がかりが残っていました。
哺乳類の耳の進化には、下あごや耳の奥の小さな骨(耳小骨)とつながっていた「メッケル軟骨」がかかわっています。
今回の化石では、骨のように硬くなったメッケル軟骨が、下あごにわずかに触れているだけでした。
これは、メッケル軟骨がまず下あごから離れ、その後で耳の骨から離れたという考えを支える結果です。
とはいえ、この化石のいちばんの注目点は、手足でも耳でもなく、口の中にありました。






















