ゼノボットは細胞を集めてコネて子孫を作る
発見のキッカケはゼノボットMk2の奇妙な遊泳パターンにありました。
ゼノボットMk2の遊泳パターンは独特であり、周囲にある粒子ばらまくと、1カ所に凝集されるような動きがみられことが知られていました。
そこで研究者たちは、泳ぎはじめた12体のゼノボットMk2の周りに、新たにカエル胚から単離した6万個の幹細胞を配置。
ゼノボットMk2の動きが新たな幹細胞(追加素材)にどのような影響を与えるかを観察しました。
すると予想通り、ゼノボットMk2は周囲の幹細胞をコネ合わせるように凝縮しはじめました。
そして5日ほどして幹細胞の塊が一定の段階に達すると、塊はゼノボットMk2のように表面にべん毛をはやして泳ぎ始めたのです。
さらに自走しはじめたゼノボットMk2の子供もまた周囲の幹細胞をコネ合わせ、孫の世代を作り出しました。
この結果は、ゼノボットMk2にはある意味で、自己複製を行う能力があることを示します。
現在地球上には無数の生命体が存在しますが、物理的な力(コネ合わせ)によって子孫の体を形作る種は存在しません。
オタマジャクシとなる運命から解放された細胞は、100%カエルの遺伝子を持ちながら完全に独自の遊泳体を形成し、集合知にも思える「何か」や高度な可塑性(柔軟性)を駆使して、自己複製を達成していたのです。