人間を遺伝変異から守れるようになるが進化も終わる
今回の研究により、突然変異の発生はランダムではなく、ゲノム全体でも起こりやすい場所とそうでない場所が存在することが示されました。
植物たちは自らの進化を、ランダムなサイコロに委ねるのではなく、あらかじめ一定の方向付けがされたサイコロを使って決めていたのです。
進化の方向に一定の指針(大博打をしない)が存在するという結果は、既存の生物学の常識に一部反するものであり、研究結果が正しければ生物の教科書が書き換わることになるでしょう。
また研究者たちは植物たちが変異率を抑制する方法を調べることで、遺伝病などを引き起こす人間の突然変異を抑制する薬が開発可能だと考えています。
さらに遺伝子変異はがん発生とも深く結びついており、変異抑制剤は強力ながん抑制薬にもなると考えられます。
ただ薬によって全ての変異が抑制されるようになった場合、人類の進化はそこで終わります。
変異の拒絶は可能性の拒絶でもあるからです。
突然変異によって難病をわずらう人もいなくなる代償として、突然変異によるスポーツや学問そして芸術の天才も、人類は失うことになるでしょう。