イワシの群れに突っ込む瞬間映像
WCSの研究チームは、南米のビーグル水道に分布するジェンツーペンギンのオスに防水のボディカメラ「PenguinCam」を装着し、採餌生態を調査しました。
ジェンツーペンギン(Pygoscelis papua)は、体長90cmにもなる世界で3番目に大きいペンギンです。
南米大陸の南部から南極にかけて存在する島々に生息し、岩の多い海岸部に小石の巣を作ります。
他のコロニーの巣から小石を盗むことで有名です。
彼らは、どのペンギンよりも速い時速35kmで泳ぎ、水深90mまで潜ることができます。
この高い潜水能力を活かして、海底付近にいるイカや甲殻類を捕食します。
しかし今回の映像は、海面近くでも巧みに狩りができることを証明しています。
WOW! Penguin takes astounding selfie video while it dives and feeds #penguinawarnessday @wcsargentina @CadicUshuaia https://t.co/nIqgs2UXBE pic.twitter.com/lp2aGFGXOk
— WCS Newsroom: #EarthStrong (@WCSNewsroom) January 18, 2022
映像では、2度目の突進で見事にイワシをキャッチしているのが分かります。
WCS海洋生態学者のアンドレア・ラヤ・レイ(Andrea Raya Rey)氏は「この映像は、ジェンツーペンギンの食の生態について理解を深めるもの」と話します。
「ボディカメラを取り付けたのは採餌のための1回きりで、ペンギンが戻ってきたら装置を外しました」と続けます。
その後、彼らは巣に戻り、親として子供の世話に熱心に取り組んでいたという。
チームは、アルゼンチン近辺に分布するジェンツーペンギンのコロニーを調査し、環境の変化が与える影響について理解を深めているところです。
意外にも、他の多くの種とは異なり、気候変動はジェンツーペンギンの生息域を拡大させていることが分かっています。
これは氷土の後退にともない、ペンギンたちが南下しているためです。
しかし、生息域の拡大は、脅威と無縁であることを意味しません。
たとえば、かつては寒すぎて繁殖できなかった海域に有毒藻類が繁殖し、ペンギンたちの間に病気が侵入する可能性が考えられています。
住む土地が広がるのも良いことばかりではないようです。