大雨をもたらす気象現象「大気の川」
過去にも散発的な豪雨被害はあったものの、最近は記録的な大雨が毎年発生している印象が強くなっています。
このため、多くの人たちが気候変動という言葉を意識しているでしょう。
しかし、大雨をもたらすような気候変動はどうやってもたらされているのでしょうか?
最近の研究では、この原因として「大気の川」と呼ばれる現象が指摘されています。
「大気の川」とは、熱帯地域で発生した水蒸気が川のようになって、中緯度地域へ流れ込む現象のことです。
大気の川は通常、幅数百km、長さ1500km以上続き、アマゾン川より多くの水を運ぶことができるとされています。
この現象は、これまで北米西岸や欧州で確認されていて、上陸した際に豪雨を引き起こすことが注目され、さまざまな研究が行われてきました。
ただ、欧米以外の地域で大気の川が生じるメカニズムはよく分かっておらず、地球温暖化に伴ってその活動が変化した場合の影響については理解が進んでいません。
日本では以前から、大雨をもたらす要因として台風の研究は進められていましたが、最近では台風とは異なる時期に、長期間豪雨が続く線状降水帯と呼ばれるものが確認されています。
これは発達した積乱雲が次々と列をなして発生し、帯状の広い地域に長時間続く大雨をもたらします。
この現象は台風とは異なり、同じ場所に数日間も居座って続くところが特徴ですが、詳しいメカニズムについては十分検証されていません。
日本に増えてきた特殊な大雨は、地球温暖化の進行に伴って活動を変化させた、東アジア地域を通過する「大気の川」が要因である可能性があります。
そこで今回の研究は、過去60年間にわたる東アジア地域の大気の川の振る舞いを調査し、降雨強度のデータと比較することで、その影響を明らかにしようとしました。
そして結果は、日本の恐ろしい将来を示唆するものでした。