性教育に「快楽」の概念を取り込むと効果が高まると判明!
多くの人々にとって、義務教育課程に受けた性教育は退屈なものだったでしょう。
性教育は「男女の対等な関係」「避妊の重要性」「妊娠の仕組み」などなど、性に関する教育を行うことを目的としています。
しかし豊富な雑学で歴史の面白さを教えてくれた先生も、自作した小道具を使って科学に対する興味や驚きを感じさせてくれた先生も、熱量たっぷりに数学の奥深さを語ってくれた先生も、性教育の時間になると途端に口調が事務的になり、情報を淡々と口から吐き出す「スピーカー」になってしまいます。
同じ現象は日本だけでなく、世界中の性教育の場でも起きており、性教育に膨大な予算がつぎ込まれていても、成果が十分に現れているとは言えない状況でした。
そこで今回、オックスフォード大学の研究者たちは、世界中で試みられているユニークな性教育を分析し、効果的な性教育の方法を調べることにしました。
性教育の効果の低さを問題視している人々は多く、近年になってより多様な試みが行われるようになおり、その知見が蓄積されていたからです。
調査にあたっては33のユニークな試みをレビューし、そのうちの8つについて分析を行いました。
結果、性教育に「快楽」の概念を取り入れたものが高い効果を持ち、性感染症やHIVの予防効果やコンドームの使用率を明らかに向上させることを発見します。
「快楽」の概念を取り入れた性教育では、ペニスを刺激される「気持ちよさ」やクリトリスを愛撫される「喜び」、そして性行為の中で訪れる「絶頂」など、卑猥とされ性教育の現場から排除されてきた「性の中身」を取り扱っています。
またいくつかの試みでは、相手の好みや性行為の具体的な行動、肛門を用いた同性愛の方法についても議論の対象として、教育内容に盛り込まれていました。
歴史に興味を与えてくれるのが、人物の逸話や失敗といった血肉の通った雑学であるように、性教育の効果を高める秘訣も「性の中身」である快楽から目をそらさないことにあったようです。
研究者たちは既存の性教育では「性と快楽の関係が無視され汚名が着せられている」と述べており「性行動の動機となる快楽を性教育に組み込むべきだ」と述べています。