発見は「ピーピー」という鳴き声が頼り
S. ダンタは、ペルーの地元民にとっては昔から知られていた存在でした。
現地では「バク蛙(tapir frog)」を意味する「ラナ・ダンタ(rana danta)」と呼ばれていますが、これまで学術的には正式に確認されていません。
しかし国際研究チームは2019年11月、地元ガイドの協力のおかげで、本種の発見と捕獲に成功しました。
S. ダンタは、腐敗した植物からできた栄養豊富な芝生で覆われた湿地帯である泥炭地に生息します。
体が小さい上に地上を飛び跳ねることがほとんどなく、地中に潜っていることが多いため、捜索は困難をきわめたという。
ペルーIPH(Instituto Peruano de Herpetología)のゲルマン・チャベス(Germán Chávez)氏は「ピーピーピーという鳴き声を頼りに探すしか方法がなかった」と話します。
結局、カエルが最も活発になる深夜の時間帯で、3日間の捜索の末、S. ダンタの成体の捕獲に成功。
形態やDNA分析により、晴れて新種として記載されました。
奇妙な鼻はスコップ代わり
湾曲した鼻先や、頭部にかけて細くなったスコップのような体は、泥炭地の柔らかい土壌を掘るのに非常に適しています。
シカゴ・フィールド自然史博物館(Field Museum of Natural History)のミシェル・トンプソン(Michelle Thompson)氏は、こう述べます。
「その体型や外見は、他の環境に生息する種のように頑丈で幅広ではなく、泥炭地の柔らかい土壌に適応しているようです。
S. ダンタは泥炭地の生態系の一部であり、地中を移動し、食事をし、卵を産みます。
地下の栄養循環に貢献し、土壌の生態系の維持に役立っていると考えられます」
研究チームは今後、S. ダンタが泥炭地にのみ限定して分布するかどうかを確認したいと考えています。
「本種が湿地に特化している可能性は高いですが、そう断定するには解決すべき点がたくさんある」とチャベス氏は言います。
幸運なことに、同地域は大規模な保護活動が進んでおり、森林伐採もほとんど行われておりません。
見つけにくいという難点を除けば、今後の調査にも大いに期待が持てます。