・107のほ乳類の遺伝子を調査した結果、すべてに「昆虫を消化するための酵素」が含まれていたことがわかる
・この結果は、原始のほ乳類の歯が「昆虫を食べるつくり」になっていた以前の研究を支持するものとなった
最新の研究により、107のほ乳類のゲノム分析を実施した結果、約6600万年前の私たちの祖先の主食が「昆虫」であったことがわかりました。
http://advances.sciencemag.org/content/4/5/eaar6478
科学者たちは、私たちほ乳類の遠い祖先がもっていた「昆虫を消化するための酵素」の遺伝子が、今日のほ乳類すべてのゲノムにみられたことからこの推論を導き出しました。トラやアザラシなど、今日では昆虫と全く関わりをもたないような動物の染色体にも、現在では「機能していない」そのような遺伝子がみられました。
研究をおこなったモンペリエ大学のクリストファー・エマーリング氏は、「これは驚くべきことです。あなたが飼っている犬でも猫でも、ウマでもウシでもどんなほ乳類にも、まだ恐竜がうろついていた時代の名残りが存在しているのです。私たちの祖先は当時、昆虫を食べては駆け回っていたのでしょう」と語っています。

この結果は、過去にほ乳類の歯の化石から得られていた推論を裏付けるものにもなりました。つまり、私たちの祖先の歯は、昆虫が食べられるようにできていたのです。エマーリング氏は、「遺伝子情報が歯の化石と同じことを語っています。つまり、私たちの祖先は昆虫を食べており、やがて恐竜が絶滅しました。その後に祖先の食事が変化していったと考えられます」と述べています。
「昆虫を消化するための酵素」の名前は「キチナーゼ」。昆虫の「殻」は「キチン」とよばれる固い炭水化物から成っており、キチナーゼがその殻を分解します。膵臓や肺、唾液腺でみられるこの酵素は、ぜんそくの症状に関連があるとされており、今回の発見がこの酵素の理解を深める可能性があります。
原始から私たちの食生活は大きな変貌を遂げてきましたが、遺伝子にはしっかりとその記録が残っているようです。いつ私たちの主食が「昆虫」に戻ってもいいように、このような名残りがあるのかもしれません。
via: futurity / translated & text by なかしー
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