恐竜の絶滅の原因といえば、ドラマチックで派手な隕石の衝突を思い浮かべる方も多いでしょう。
しかしIdas in Ecology and Evolution誌に掲載された論文によると、恐竜の絶滅は「植物の毒」によって、隕石の衝突前からゆっくりじっくり始まっていたのではないかというのです。一体それはどういうことなのでしょうか。
https://ojs.library.queensu.ca/index.php/IEE/article/view/6802
ニューヨーク州立大学オールバニ校の研究者らは、恐竜は毒を避ける性質を持っていなかったことを発見しました。
多くの生物種では、害のある食べものを摂取してもこれを覚えて避けることが出来ます。例えばネズミに毒エサを与えて絶滅させようとしても、体に害のある物を含む食べ物の味を覚えて避けるようになるため、そう簡単にはいきません。これは「学習味覚忌避」という、進化的な防衛機構が発達しているからなのです。
花をつける植物である被子植物は、隕石が恐竜を一掃する前に地上に現れています。研究者はこの被子植物が「隕石衝突よりも前に恐竜を衰退させたのではないか」と推測しています。被子植物が防衛のために毒を進化させた一方で、「学習味覚忌避」のない恐竜はそれを食べ続けたというわけです。
植物が毒を作り始めた正確な時期はまだ分かっていません。しかし、有毒植物の出現と恐竜が徐々に消え始めた時期が、おおよそ同じであることは疑いようのない事実です。
研究を行ったギャラップ教授は言います。「隕石衝突に基づいた恐竜の絶滅について主流の見解は、恐竜の絶滅は突然起こり、その効果は広範囲であったはずだ、という考えを暗に含んでいます。しかし今回の証拠は、全く反対の見方を示しています。つまり、恐竜絶滅は隕石衝突のずっとまえから始まっており、その後何百万年もかけて次第に消えていったのです」
最近では、恐竜が「隕石前にすでに死に体で、百万年単位で死んでいった」とする説もあがっています。今回の研究は、その説得力を高めるものとなりそうです。
via: Mail Online/ translated & text by Nazology staff
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